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January 2005

January 12, 2005

ロバート・キャパ写真展2 週刊100人そしてミステリー

「ロバート・キャパ最期の日」のHomePage
lastplacecapa2004
2004年5月25日 ロバート・キャパ没50年 この土地でロバート・キャパは地雷を踏んだ。下の写真のキャパが最後に撮った場所と同じ場所。

年末に、ワンテーマ、マガジン、週刊100人No.082、「ロバート・キャパ」が発売されていた。僕の「ロバート・キャパ最期の日」からの引用もあった。
ところで、気になったところがあり、それはキャパのラストショットについての記述で、ロバート・キャパが地雷を踏む直前のlastcolor">最後の写真、カラー写真が紹介されているが括弧のなかの注釈に(コンタックスで撮影されたモノクロ写真(がラストショット)だとする説もあると書いてある。
しかしそれはもう、1984年の展覧会で、カラーの写真を発表した時点で解決済だ。なぜなら、荒地を散会するように進む兵士の動きを、モノクロ(ダブルX)とカラー(コダクローム)とを比べると明らかに、兵士の動きから、カラーが後に撮られていることは明白だからだ。
それより僕は、キャパの最後のカラー写真が、いったいどのカメラで撮ったのかというほうがミステリーに思える。いちおう「ロバート・キャパ最期の日」では、リチャードウイーランの伝記を尊重して、モノクロはコンタックス2、カラーにニコンSとしていたが、実のところ、もしかしたらそれは間違いではないかと思っているからだ。
最後の瞬間を記事にした、キャパと同行取材したライフの記者、ジョンメクリンの記述には、キャパは地雷に吹き飛ばされたとき、左手にコンタックス2を握りしめ、ニコンSは投げ出されていたとある。死して、カメラを放さなかったというくだりは、ちょっと眉唾ぽいけれど、そんなことより、そこには、それぞれどのカメラに、何のフィルムを入れていたかは書いてない。それがリチャードウイーランの伝記には明確に、コンタックス2にモノクロ、カラーにニコンSとある。その根拠は何なのだろう。いろいろ取材すると、リチャードウイーランは写真に対してあまり造詣は深くない。そういったことに関して、検証できる立場(コーネルからも、さまざまな資料からも調査できる)でありながら、追及はしていない。
なによりもミステリーだと思うのは、現在、東京富士美術館に収蔵されている、ニコンSにはニッコール50mmF1.4がついていることだ。コンタックス2は紛失している。
キャパの最後に撮った写真、カラー写真は明らかにワイドレンズを使用している。当時のニコンとコンタックスは、レンズを共用することも可能だ。しかし、現在残っている、レンズに泥をかぶったニコンSについている50mmF1.4という事実。最後のモノクロの写真は標準レンズで撮っていることは、写真を見ればわかる。
僕は、キャパのインドシナで撮ったすべてのコンタクトプリントを見た。
すると、途中、二台のカメラで、ワイドと標準で、撮っているモノクロのコンタクトがある。一つの状況を違う画角のレンズで撮っている。ニコンとコンタックス両方にモノクロをいれいたわけだ。ごく普通にすることだ。
そしてキャパの最後の日の前日、どちらかのカメラにカラーフィルムを装填したのだろう。
死の当日は、一台にモノクロ(スーパー・ダブルX)、一台にカラー(コダクローム)を入れている。
素直に考えれば、ニコンSにモノクロ、コンタックス2にカラーを装填していたのではないだろうか。

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January 11, 2005

ロバート・キャパ写真展2005 キャパ・イン・カラーTOP PAGE

ROBERT CAPA EXHIBITION CAPA in COLOR
「ロバート・キャパ写真展 キャパインカラー」
 2月15日(火)→2月20日(日)日本橋三越本店新館7階ギャラリー
380capaincolor
Large Size all photos Robert Capa/Magnum Photos

1935年、画期的なコダックのカラーフィルム、コダクロームが発明され、翌36年スチール用が発売された。ロバート・キャパは、その翌々年の1938年には中国取材で早速そのコダクロームフィルムを使用している。
当時の感度は、ISO(ASA)10ぐらい。しかしその性能は素晴らしかった。後に発売される、エクタクロームと違い
外式という染料で後から色をつけるものだった。耐久性に優れ、50年以上も前に撮ったカラーフィルムだというのに、いまだに美しさが保たれている。内式のカラーフィルムでもロバート・キャパは多くの写真を撮ったが、残念ながらほとんど画像が変色し、消えてしまったという。
コダクロームで撮った1938年の日中戦争の写真は、ライフに発表されたが、残念ながらポジは紛失している。
その後撮られた大量のカラー写真が、2002年にニューヨークマグナムから大量に発見された。
そのキャパの初公開のカラー写真を軸に、今回展覧会が開催される。
内容は、発見された、イギリス、チュニジア、シシリーの戦争中の写真、そしてへミングウエイ親子、死の直前の日本滞在、それに最後の土地、インドシナで撮影したカラー写真が展示される。
他に15点のキャパの代表的なモノクロ写真も展示されるという。
そのほかキャパが撮影中着ていた従軍記者用軍服(?)も展示される予定だ。
当時、カラーフィルムは広告などでは多く使用されていたが、速報性の必要な報道写真(ルポルタージュ写真)では、メディアのカラー対応の遅れなどもあって、あまり発表されていなかった。それでもロバート・キャパは積極的にカラーフィルムを使用している。

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January 01, 2005

ロバート・キャパ写真展「キャパ・イン・カラー」

capaexcolorIMG_8068
マグナム・フォト東京支社 2005年、年賀状

2005年2月15日から20日まで、日本橋三越にてロバート・キャパの写真展「キャパ・イン・カラー」が開催される。キャパは、当時開発されたカラー写真を積極的に取り入れ撮影している。ブレッソンのようにカラー写真は撮らないということはなかった。キャパはカラー写真の可能性を知っていた。しかしキャパのカラー写真はあまり多く発表されていない。ニュース写真としては速報性がなく、まだ価値を認められなかったのかもしれないし、メディアがまだカラーに対応していなかったのかもしれない。いや、あまり現実的に写りすぎるので、モノクロより芸術性がないと思われていたという考えもある。特にキャパが死んでからは、ルポルタージュカメラマンという面だけではなく、芸術家としてもキャパを評価する上でカラー写真は「キャパのレベル」に達していないと評価されたのかもしれない。キャパの有名なカラー写真は、ベトナムで死ぬ直前に撮った、最後の写真だけだった。今回大量に発見された、未公開のカラー写真を展示するという。とても興味深い。

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