写真の話、三脚について
BBSに、カメラの三脚についての質問があった。
三脚が、ブレの元凶みたいなことが、某雑誌に特集されていたそうだ。
三脚はプロにとっては、ごく普通に使うもので、誰でもかなりちゃんとしたものを、幾種類か持っている。だから使うといえば当然のことだし、理由がなければ全く使わないものでもある。
三脚といえば、大型カメラだ。
僕は、今は8x10を使わなくなったので、ジナーもデアドルフの8x10も売ってしまった。
そのころその大型カメラのために、ジナーのくそ重たい三脚、脚の太さが5センチぐらいもあるやつを、使っていた。今のようにカーボンではなく、一人で操作するのは困難で、(やってできないわけではない)アシスタントが絶対に必要だった。
なにしろジナーは8x10だと、標準レンズでも360mmだ。顔のアップを撮るとなると80センチぐらいに蛇腹を伸ばすことになる。
ただそんな撮影は、スタジオで強力なストロボを使うので、三脚は保持しているだけ、ブレを気にしたことはない。
それより、絞りをF32、45、64と絞りこむが、それでも被写界深度は浅く、ピントのほうが心配だった。
ジナーの4x5で車を撮っていたとき、望遠系のレンズをつけるとやはり、やはり蛇腹はかなり伸びる。屋外の撮影では、風もあるので前のほうにもう一つ、三脚を補助につかったりもした。パネルを立て、風除けもした。
僕は4x5は通常、リンホフテヒニカ4x5を使っている。今でも唯一もっている4x5だ。それはプレスカメラ、折りたたみのフィールドカメラだ。三脚はハスキーの3段や4段を使用している。通常はそれで何の問題もない。
アメリカ製の三脚、ハスキーは、パン棒というか、雲台がスムーズで使いやすく、プロカメラマンの多くが支持をしていた。それにジッツオより、大きさの割りなりに軽量だった。
ハスキーは万能で、マミヤ67、645、ハッセル、コンタックス645とそれに、35mmでも使用していた。
35mmの三脚使用状況は、200mm以上の望遠使用時に使用した。
あと朝や夕方のスローシャッターが必要なとき。そして開放での、超アップ時にも、高速シャッターが切れないときは、使用した。
もっとも僕は、望遠レンズ系は、90%以上、開放撮影なので、屋内でもかなり早いシャッターが切れる。ライブやファッションショーの撮影、特に若い頃よく撮ったが、そのころキャノンの望遠レンズは充実していた、明るく、600mmぐらいでもf5.6はあったと思う、いや4.5だったかな、シャープで素晴らしいレンズだ。もう30年近く前のことである。フィルムはハイスピードのエクタクロームの、デイライト、タングステンをISO800から1600ぐらい、またはTri-xを1600から3200ぐらい増感していた。
とにかく、明るい望遠と、ハイスピードの組み合わせで、かなり速いにシャッターが切れ、三脚を使えばぶれることはなかった。
そんなふうにブローニーカメラ以上の三脚の使い方は、僕の先生のやりかたをそのまま踏襲している。
そのころ沢渡朔さんは、ジッツオの三脚に、スリックの自由雲台を使っていた。沢渡さんはほとんどの写真をハッセルと35mmで撮影した。とてもシンプルなやりかただ。今でもそうだと思う。そのシンプルさに僕はあこがれた。
僕はジッツオの細めの三脚に、沢渡さんの真似をして、スリックの自由雲台を載せた。
僕は助手時代、先生のメインカメラがブロニーはハッセル、4x5は、テヒニカ、35mmは、初期はニコンF、その後CanonF1だった。助手時代の機材は、徹底的に使いこなしていたので、その使用法は肉体化されている。(何も考えずにそうさできる)。
フリーになったとき、テヒニカの4x5、ハッセル、CanonF1が僕のラインナップになった。すべてをその3台で撮った。当然三脚はハスキーだった。
しかし、その後、さっき書いたように、軽装を志向したため、ジッツオに自由雲台をつけた三脚も使った(作品の場合、助手なしも多いからだ)‥‥後に自由雲台は、ジッツオの純正になった。
その後、僕の、ブローニーのメインカメラが、マミヤのRZ6x7になった。
グラビア写真は当時、皆35mmコダクロームⅡ全盛時代だった。僕は、かなり早くからブロニーを使った。最初はハッセルだったが、後にほとんど、RZになった。110mmの標準が大好きで、2.8と明るく、しかもファインダーもみやすく、モノクロフィルムだったら、手持ちでも可能だった。400分の1秒が切れたからだ。しかし通常マミヤRZは、いつもハスキーを使用していた。重いカメラだし、リボルビングもついているので、横位置撮影も簡単だったので、ハスキーが安定した。
その後、マミヤの645PROを買った。しかし、ピントがなかなく難しく、すぐに友人に安くゆずった。僕のように開放派には、向いていなかった。
その後のコンタックス645を購入した。オートフォーカス。実際はセミオートのように使った。
操作感は35mmに近くても、ピントはやはり、ブロニーで、しかも僕は、いつも開放撮影、手持ちでの撮影は至難だった。結局645は、いつも三脚を使用した。
風景写真と違い、人物撮影は、ピントが微妙だ。35mmにしろ何にしろ、ピントが難しいときには、かならず三脚をしようした。
ハッセル時代、モノクロだったら、手持ちで撮影も可能だった。その代わり、開放撮影は無理だ。モノクロはにしろ、からーにしろ、f8-16ぐらいは絞った。
スタジオ撮影は基本的に絞り込む。F11とか16ぐらいが、常用だったろうか。そのためピントも深く、手持ちで撮影できた。もっともハッセルのF2.8の開放撮影では、必ず三脚を使用した。
今は、デジタルで、軽いジッツオと、ハスキーを使用している。
望遠の重いやつでもハスキーでよいようだ。今はカーボンで軽い三脚が多く出ている。だいぶ状況はよくなっている。僕はカメラも三脚も軽いほうが好きだからだ。かといって、なれた三脚が好きなので、やはりハスキーがメインの三脚だ。
ところで、三脚でブレ。うーん、BBSにも書いたが、あんまり気にしたことはない。風の強い日の望遠だとしても、僕は開放撮影が多いので、ブレることはない。
話はそれるが、面白いことに、僕の特殊撮影、トワイライトツイストは、三脚がなければ撮れない。デジで本でも紹介したが、ポラロイド690で三脚のねじを強く締めると、ボディがゆがんで動かなかったことがあった。
また、これまたおもしろいが、その撮影では長時間露光をする。シャッターを押した瞬間のショックがあり、1秒とかそのぐライのときのブレが多いことだ。10秒20秒が意外とぶれない。それは、シャッターのショックが収束した時間が長いほどブレにくいということだろう。
ついでに長時間露光についてだが、車の撮影をしていたとき、すべて4x5だったが、友人の、車をメインで撮っている、大学時代の同級生、天才、高木松寿が、(僕は学生時代彼の写真に多大な影響を受けた)、シートフィルムの長時間露光で怖いのは、フィルムのカーリングだという。タングステンでのライティングで、長時間露光をすると、途中の温度変化で、フィルムが突然歪むそうだ。だからとくに8x10のようなフィルムホルダーにはバキュームを使うといっていた。そのとき僕は4x5だったので、バキュームは使わず、それより、テストも含めて、なるべく1カットに何枚も撮影することにした。運良くその後、幾たびも撮影したが、カーリングによるピントのずれ事故に遭遇したことはなかった。
後に、コンタックスの645のパックにバキューム付きがでたときは、まよわずそれを買った。
僕のような、開放撮影派は、ブレよりピントが重要という結論だ。
そうそう、開放撮影のよいところは、デジタルのごみの事故が少ないということだ。ときどきスタジオでいっぱいに絞ると、あるわあるは、撮像素子はごみだらけ。絞込み派は、オリンパスのダストリダクションは必携かもしれいない。
などと、ちょっと三脚の話から脱線した。
Comments