« ポールサイモン「僕のコダクローム その7」 | Main | キャパ「僕のコダクローム その8」 »

2005.01.28

沢田研二「僕のコダクローム その7」

カラーフィルムが発明されて60年、そのコダクロームで撮った、ロバート・キャパの写真展が2月15日開催される。コダクロームとはどんなフィルムだったのだろうか。それは決して幻ではなく、ほんの少し前まで、プロカメラマンにとって特別なフィルムだった。そのフィルムについてのブログだ。
「僕のコダクローム その1」は、ここをクリック

Sawada001

1978年。この頃、コダクロームで撮影した写真は、たいていがいわゆる男性誌のグラビア写真が主だったような気がする。女性ばかり撮っていた。作品性は、強くない。
タレント、歌手のような芸能人の写真は、肖像権があるので、むやみにネット上で紹介することはできない。連続して撮り、なおかつ作品性の強い写真は、例えばコマーシャルフォトのような雑誌に一度掲載しているので、ここでも紹介できる。
沢田研二の撮影は、アートディレクターでもあり、衣装デザイナー、イラストレーターの、天才、早川タケジの仕事だった。(「熱を食む、裸の果実」の表紙イラストを描いてもらった。)特に、このころは大仕掛けな撮影が多く、しかも短い時間に、といっても10時間以上かかることもあった。(沢田研二の時間が取れないので当然撮影は夜になる)さまざまな仕掛け写真を、徹夜して撮った。僕はこの頃は、6x6や、6x7がメインだったが、早川の要求する、カット数の多さ、何しろ一晩で、コンサートパンフレット1冊を撮ってしまうのだから。そのため、スピードとバリエーションが要求された。中型カメラで撮ると、狙い打ち、決めカットが多くなる。だから35mmが必要だった。大きなスタジオを三つ使い、それぞれまえもっとセッティングして、撮ったこともある。そんなときは、僕たちは朝から用意している。カットが多いからといって、シンプルな撮影はあまりなかった。一日中たちっぱなし、そしてテンションをあげ、朝撮影が終わると、立っていられなかった。横位置の写真は、広告である。他に雑誌の特集(ラビ?)10ページのなかに使ったろうか。もちろんコンサートパンフレットにも使用した。
カメラはキャノンF1。FD24mmF2.8。フィルムはコダクローム64、KRだ。コダクロームが重厚な色彩のフィルムといわれているが、オリジナルポジは、さらに原色の世界だ。決して地味なフィルムではない。縦位置の写真は、レンズが50mmf1.4で、フィルムは同じだ。
スタジオでの撮影は、ポラロイドを使用していた。ライティングが複雑で、ポラなしではもう撮れなかった。なにしろ横位置の写真は、ストロボとタングステンが混在している。ゼラチンフィルターも多様している。すべてをスポット状態にして、部分部分をライティングしている。全部で20灯以上使っている。
Sawada002

縦位置の写真は、タングステンのスポットに、ピンクゼラチンをかけ、白い背景に当て、正面は大型ストロボをスポットにして、トレペでデュフューズしてライティングしている。顔のライティング、背景にもれないようにするのがこつだ。
ストロボとタングステンの組み合わせにより、微妙に背景がブレて、輪郭がにじんでいる。
早川タケジの仕事で僕は、いわゆる写真の正統的なライティングではない手法を学んだ。いや編み出した。なにしろ早川は、イラストレーターだ。撮影の時には、何十枚もの彼の華麗なイラストがコンテだ。早川は今回のイメージは、こいう感じだと、絵でも見せてくれる。しかし、これは写真には撮れない。彼のイラストは、写真世界とは全く違うものだ。色彩と、タッチで構成されている。僕は、そのイラストの持っている、世界を頭のなかに取り込む。そして、写真では、どんな風になるのか、想像する。そうなると、正統的なライティングは、どれも使えない。そこで編み出したのが、多灯ライティングだ。絵のように、画面は、部分から構成されている。そうすれば、自然ではないけれど、イラストと同じような世界が表現される。この手法をなんどもすることによって、後にトワイライト・ツイストになったのかもしれない。
下の写真は、上の写真と同じ手法でライティング。CanonF1MF FD24mm2.8 コダクローム64 KR
非常に細かい、シルクの黒いストッキングを、紗としてレンズの前につけている。
Sawada003
ただこれは、すべてストロボでライティングしている。いわゆるグリットという、蜂の巣状のディヒューザーを取り付けている。10灯以上使ったと思う。セッティングは、早川さんのイラストに合わせて、皆で並べる。僕がファインダーを覗きながら調整してからライティング。グリットには、穴の大小いろいろなものがあるので、並べてから、それぞれ光量をそろえる。それだとフラットになってしまうので、強弱をつける。部分的に当ててゆくので、顔に当たる部分がメインということになる。ときどきポラロイドでチェックする。
NEXT

|

« ポールサイモン「僕のコダクローム その7」 | Main | キャパ「僕のコダクローム その8」 »

Comments

Hi there, yeah this piece of writing is really pleasant and I have learned lot of things from it regarding blogging. thanks.

Posted by: front end developer new york | 2015.01.11 at 10:45 PM

はじめまして。懐かしい写真ですね!
親がファンで、子供ながらにもジュリーは衝撃的な人で、あの頃つられてファンになりました。
20年以上も前にこういうことをやっていた早川さんって、やはり奇才というか天才というか、とにかく言葉では表現できないですね。
何もかも時代を先取りしてましたね。Jamiroquaiのインディアン超のコスチュームを見たときも、
「ジュリーのお前にチェックインじゃん」って心ツッコミしました。

どうでもいいことを語ってすみません。
気づくと2年前の記事ですね。
素敵な写真を拝見させていただき感謝しております。
ありがとうございました。

Posted by: juju | 2007.02.16 at 12:34 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/63473/2720734

Listed below are links to weblogs that reference 沢田研二「僕のコダクローム その7」:

« ポールサイモン「僕のコダクローム その7」 | Main | キャパ「僕のコダクローム その8」 »