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2005.02.06

2mPhotographer小堀正一写真集

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2mフォトグラファー、小堀正一さんが、写真集を送ってきた。それも僕が昨年上梓した、ハウツー本、「デジで本」で紹介した、ネット写真集、アスカネットのマイブックで、2冊つくっていた。

小堀正一は、2mぐらいしか視覚では認識できない。彼は生まれつき虹彩がなく、強度の弱視だ。
その彼が、医者の警告を無視して、写真を撮り続けている。昨年の今頃だろうか。僕はその頃、見ないで撮影するといったことをテーマで写真を撮っていた。もともと僕も、被写体をあまり凝視しない。
そこに、本当に凝視をせずに写真を撮っている人からコンタクトがあった。それが小堀さんだった。
ホームページをみて驚いた。並みのアマチュアのカメラマンではなかったからだ。かつては、コンテストの常連だったという。その後、視覚障害者用のパソコンのシステム開発に力を注ぎ、写真からとうざかっていたという。それがデジタル一眼レフカメラがでたことにより、そしてシステム開発が軌道にのり、むくむくと写真を撮りたくなったとう。
そんな彼を僕は、ベトナムに誘った。ちょうど、ロバート・キャパ没50年の取材だった。彼はこれまで、一人で海外にいったことはないという。僕はベトナムのでの受け入れはだいじょうぶだと説得した。家族は大反対だったそうだ。
僕は彼の写真を見て、とても見えないで撮っているとは思えなかった。あれだけ撮れるならば、一緒に旅ができる
と思ったのだ。そして何より、いったい彼がどうやって写真を撮るのか興味があった。
先乗りしていた、僕は、ハノイ空港に彼を迎えた。もちろんそのときが初対面だ。サングラスをかけ、ごく普通にやってきた。関空についてからは何の問題もなかったという。きちんとサポートしてもらえたらしい。しかし、なにより、名古屋から、関空までが大変だったそうだ。なにしろ標識、表示板が見えない。周りのひとに訪ねると、あっちとか、表示板をさしたりするという。まずいことに、カメラなんてもっていたら、まったく馬鹿にるのかといった、態度を示されるときがあるという。だから、カメラは首からさげずに、バッグにしまっておくという。
彼は、家族の見送りを断っている。自分一人で、ハノイまでたどりつきたかったという。しかたがなく海外ローミングの携帯は持たされた。
最初、小堀さんは、ハノイの町を歩いて、戸惑ったという。なにしろ、ベトナムのバイクの排気音と、クラクションの音の氾濫だ。通常彼は音を頼りに、歩いている。
普段歩いているとき、前に人がいると歩きやすいという。それは、前の人の靴音で、状態がわかるからだ。コンクリートの音、そして階段を下りる音。
そんな彼がハノイの騒音で、方向感覚が狂ったという。しかし、数時間で彼はマスターした。激流のようなバイクの流れを横断する。朝、日が昇るやいなや、街にでて、一人でスナップをしていた。とても、目が不自由とは思えなかった。僕は彼を2mフォトグラファーと呼んだ。
日本に戻り、そのとき撮った写真で写真展を開催した。そのとき僕は、メッセージを書いた。

【 五感のハンター 】
 2mフォトグラファー小堀正一は、何を見つめて写真を撮っているのだろう。
 僕は彼と一緒に、ハノイの街を、カメラを持ちながら歩いた。
 彼は濃いサングラス越しに、きょろきょろと周囲をながめ、常に何かに耳を澄ましている。いや、気持ちを澄ましているのだ。彼は心を透明にして街の生命を感じ取っている。
 彼は、目で漠然と認識できる微妙な色や形やその動きや、周囲の喧騒や話し声、悪臭も含めたさまざまな匂い、そして汗をいっぱいかいた自分の肌に感じる空気の流れ、そればかりか遠くにある食品の味覚まで、五感をフル動員して感じようとしている。
 写真は目で撮ると信じられているが、小堀を見ていると、写真は五感で撮るものだと教えられる。
 五感で感じたものだからこそ、見る側の心に深く響くのかもしれない。

写真家 横木安良夫

ここに書いたことは本当だ。それはある意味、僕と同じようなやりかたで撮っている。僕は、目は見えるけど、視覚よりもっと、その場の空気感、匂い、いや、なんだかこの辺が面白そうだぞ、と感じられる。
ヘルムート・ニュートンが、犬のようにかぎまわるという表現をしていたが、僕もそんな感じだ。
小堀さんは、かつて、コンテスト荒らしだった。しかし僕は、彼に、コンテストはもう卒業して、自分の写真を撮って欲しいと言った。その最初の一歩がこの写真集になるとうれしい。
モノクロ20ページ、いままでの作品集は、3900円、Vetnamの写真集28ページは4500で販売している。
是非、彼のサイトの作品をごらんになってほしい

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