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2005.05.07

インテリアフォト アートフォト その4

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アートフォトその3は、ここをクリック
なぜ日本では、オリジナルプリント.アートフォト(Fine ArtPhotography)が、盛んにならないのだろうか考えてみた。

もともと写真を額に入れて飾る習慣がなかったのだろう。壁に貼るのはたいていポスターだ。だいたい日本家屋にはシンプルな白い壁がなかったから、先祖の写真を鴨居などに飾っているぐらいだったのだろう。
絵画は立派な額に入れ、応接間に飾られた。それは、たいして値打ちがなくても、応接間という、外に開いた空間での、もてなしのつもり、だったのだろうか。
現代リビングの生まれた、アメリカは、壁になにもなければ殺風景だったに違いない。絵はもちろん、家族の写真を額に入れて飾る習慣があったのだろう。日本では額に入るのは、死者という写真にたいしてスタンスの違いが面白い。写真といえば、昔の日本では、御真影といって、天皇陛下の写真、ポスターを貼る家が多かった。
インテリという概念は、日本では最近のことなのだろう。
調べたわけでも、専門家でもないので、このへんの意見は、僕のかってな感想だけど。
かつて日本人は、まるでミニマムアートのような生活をしていた。ものがなかった。
だからインテリアというか、部屋のなかはかなりシンプルだった。床の間に掛け軸が基本だったのかもしれない。昔の日本の家、といってもせいぜい僕が知っているのは、50年ぐらい前だが、どこの家もわりとかたずいていたような気がする。毎日そうじするといった、生真面目さがあったこともたしかだが、掃除をするのが簡単なぐらい、部屋には何もなかったのだ。布団を上げれば畳だけの世界。ほうきでさっさと、掃き、雑巾がけをすれば、それで終わりだった。
部屋は現在よりむしろ広かったと思う。僕の子供時代、庭のない家は少なく、かえって団地でコンパクトに住むことにあこがれたりもした。いや、きっと冷蔵庫、近代的な台所、茶の間でなく、リビングにあこがれたのかもしれない。
それでも、我が家は雑然ときたなかったほうだった。
うちには本がたくさんあり、雑誌や、それに父親の仕事がら新聞4紙が毎日届いた。それだけでもごみはすぐふえる。やはり僕が中学生ぐらい、昭和30年代後半から突然、ごみが増えだしたような気がする。

さてさて、ごみの話ではなく、そんな時代の日本の家屋の壁は、柱と柱の間が土壁だった。壁はそれだけで存在感があり、鴨居にカレンダーをひっかけ、自分の部屋があれば、ポスターを貼ぐらいだった。ポスターを一枚貼れば空間がなくなった。無駄な壁はすくなかったとういうわけだ。
それが、いつごろからだろうか、いわゆるうなぎのねどこのマンションや、2x4建築が増えてから、壁に空間ができた。白壁に囲まれた生活。それはたいてい壁紙が貼られ、何もないと圧迫感さえあった。
きっとそのころから、リトグラフなどが、よく壁に飾られるようになったのだろう。インテリアの一部だ。
ちょうど海外では、写真がアートとして認められ、流通し始めたころだ。写真のような複製可能なものが芸術がどうかなんて議論さえあった。

僕は、写真家になってからも、自分で撮った写真を額に入れ飾る習慣はなかった。仕事のポスターはよく壁に貼った。
1985年に初めて写真展をしたとき、写真はモノクロ約40点、ニコンサロンで開催したのだが、僕はそのとき、初めて自分の写真をオーバーマットした額にいれ、会場で並べ、1週間毎日自分の写真を眺めた。
それまで僕は写真を額に入れて、「お芸術」といったふうに、飾ることに抵抗があった。
写真の力はもっとダイナミックで、違うメディアだと思っていたからだ。端的に言えば写真は、メディアに乗ってこそ力があると信じていた。
その1985年の写真展では、40点のプリントを当然すべてバライタ紙、たしかイルフォードを使ったと思う。もちろん自分でプリントした。大きさは小全紙だった。
そしてニコンサロンで1週間自分の写真を眺めた。そして少し写真に対する考え方が変わった。
メディアに載ったときの写真は、それを見る人はごく一瞬のことだ。
一瞬見て、魅力的な写真がよい写真だといえる。
ところが、壁に貼られた、写真は、見る側に、無限の時間を与えてくれる。
気に入った写真だったら、それを壁に貼れば、毎日見ることができるのだ。
そして見るたびに、見る側に新たな気持ちが生まれる。
たった一週間展示しただけで、僕は自分の写真のなかから、
なんでもないけど、いつまでも印象的な写真を発見した。
そのことを知ってから、壁に写真を額に入れて飾るようになった。そのときの写真を買いたいという人があり、売った。そのとき、写真を買う人がいることを知った。彼らは写真を、インテリアだと考えていた。だから僕がつけた値段でもその部屋にあっていたから買ってくれたのだろう。

さて、本論だが、きっとオリジナルプリントを欲しいと思う人がいるのに、なぜほとんど流通していないのだろう。
それはきっと、欲しい人は、価値観が多種多様、美術品と思う人も、単にインテリアと考えている人もいる。
そんな彼らが、写真をどこで買えばよいのか、わからいない。
そのうえ自分が買ったものの本当の値打ちはがわからないからだろう。

今回、いろいろ調べていて、デジタルフォトストックのWEBを見つけた。
データで写真をダウンロードできるというのだ。これは、フォトライブラリーといって、通常、商業的な目的で写真を使う場合のやりかただ。オリジナルプリントではない。データから印刷物にするための、使用権を買うわけだ。しかしこれが、インテリアやフォトフレームの会社のサイトとリンクしていたことに驚いた。
普通のひとにも、データを売るようだ。しかしこのデータを自分でダウンロードして買う人がいるのだろうか。自分でプリントしなければならない。しかも市場性はない。
疑問だった。しかも値段が高い。ちょっとこのやりかたの現状はわからないので、知っている人がいたら教えて欲しい。
それからくらべたら、オリジナルプリント、アートフォトは、もっときちんとした仕組みになっている。しかし、どこでかえば良いのかは、わかりずらいし、どんな写真があるのかも、普通の人には探すのが難しい。
それはやはりBLITZのような、ギャラリーで買うのが一番だという結論になってしまう。

さて、さて、ここまでだったら、前回書いたことと同じになってしまう。
今日、思いついたのは、アート・フォトではなく、
もっとカジュアルに考えて、「インテリア・フォト」
というジャンルができてもよいのではないかと思ったのだ。
もちろん、アートフォトは現に存在する市場だ。ファインアートといってもいいだろう。

そうではなく、インテリアの一アイテム、家具などと同じように、そういう分野の写真が、流通してもよいと思う。
ぼくが提案した、オリジナルプリントのサイトの前段階としての、
「インテリアフォト」がどうだろうか。
撮るのは、プロもアマチュアもない。気に入った写真ができたら、それを公開する。
自分で値段をつけてもよいと思う。何しろ、ファインアートではない。家具と同じ、インテリアアートなのだ。
インテリア・フォトの、オークションサイトが、や、楽天の中のショップがあってもいいような気がする。
ただ、楽天のサイトは、店構えとして、写真を扱うには、洒落れはいないけど。
そういう意味の、デジタル・アート・ショップができると何かが動くような気がする。
そうすることによって、ファインアート、フォトグラフにも新たな動きがでるのではないか。

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Comments

「インテリアフォト」いいですよね。
撮りためてるだけではなく、プリントアウトすることで写真の楽しみがもっと広がると思います。
お気に入りのベストショットをもっと手軽に「インテリアフォト」として楽しめたら。
そんな思いをWeeego(ウィーゴ)が印刷・出力サービスプロバイダーの"Vanfu(バンフー)"と組んでサービスを提供しています。 http://tokyo.weeego.jp/

Posted by: 山本 隆 | 2010.12.14 01:03 PM

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