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2005.10.21

Manipulation マニピュレーション 肖像権 その2

Manipulation マニピュレーション 肖像権
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●人間には、写真を見る特殊能力がある。
それは、たった170年前に発見した能力だ。
思い出してみよう。記憶の中の映像は、ほとんどどれもが止まっている。
しかも、膨大な量の、ストップした映像を記憶することができる。
それは、人間が写真を記憶する能力だ。
動く映像は記憶しずらい。記憶はいつも断片で写真のようなものだ。
写真が生まれる前から、人間の記憶とは断片の集積だ。
人間が自分の映像記憶装置に気がついたのは写真が生まれてからではないだろうか。
人間の記憶装置、認識装置が、写真と同じようなものだからだ。
人間の目は、日常世界を見るときは主観的でしかありえない。
人間の目は全体を、平等に見ることはできない。
情報量の無限な、現実世界のなかで、人間はごく一部だけを、意識的に見ている。
あとは、無意識に見るか、何も見ていない。
もちろん意識的な見ているものも、ほとんどは忘れるが、無意識に見ているものも、実は記憶のなかに沈殿する。

そんな主観をもった、撮影者が切り取った(写真を撮るという行為)画面のなかの写真の世界は、光学的な、物理的な世界で主観はない。物理的な、化学的、作用だ。
写真の描いた世界には、中央も、四隅のすみずみまでもが、等価な光学的な反映でしかない。

情報の多い、現実の世界を人間が認識するには、主観的な、選択的だ。だからごく一部しか認識できないはずだ。だから人間の認識じたいが、パソコンの圧縮記憶装置のようなものだ。
写真も世界を圧縮する装置だ。
圧縮された世界は、記憶しやすい。それが人間の記憶装置に似ている。
世界を等価に圧縮する写真の仕組みが、
人間の記憶装置のずれとなり、奇妙な感慨をいだかせる。


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