ぁゅ☆姫ことすがやあゆみ、歩け、歩け!
●4月30日、ぁゅ☆姫こと「すがやあゆみ」を、彼女の地元横浜で撮影。
その日の朝、恵比寿で山口の写真家TOMOと友人のファイ君、そしてhanasanをピックアップした。
彼らは今日一日僕の助手でもある。
首都高速をとばし、集合予定の神奈川新聞社まえまで、
そこで、ぁゅ☆姫とスーパーヘルパーの、はなちゃんと落ち合った。
彼女を撮りたいとオファーしたのが数ヶ月前。
そして二週間まえには打ち合わせもした。
そのときにはまだはっきりと撮り方は決めていなかった。
そのときはぁゅ☆姫とのコミュニケーションがメインだった。
彼女の、全身を撮って欲しいとの要望が、気になった。
●僕の撮影のやりかたとして、最初から表現が明確な撮影ならともかく、たいてい仕事の場合は明確だが、作品性の強い写真の場合、いくら打ち合わせをしても、本当はギリギリまでどう撮るかを決めていないことが多い。
撮影の方法論は、たくさんある。どうやら僕は、撮影方法によって、表現をかえる傾向があるみたいだ。
それが言いか、悪いかではなく、それが僕のやり方だ。
●打ち合わせでは、まずどこで撮るか、そしてどんな傾向の服を着るかを大雑把に決めることになる。
実は当日までどんなものなるのか、あまり決め込むのは好きではない。ただ服は用意しておかなくてはならないので、大雑把なイメージは話し合う。最終的に、どの衣装にするか、撮影場所を見て、服をえらぶのが、一番いいい。
●打ち合わせのときに、コンセプトというより、イメージになる、「ことば」ななったキーワードを探すことが多い。
漠然としたまま、場所と衣装を決めるだけのことも多い。
ぁゅ☆姫を、ちゃんと撮るのは初めてだ。そして彼女は、自由自在に動けるわけではない。
●実は僕は彼女のいい表情を撮りたいのではない。彼女の撮影に限らず、表情を狙うことはあまりない。
かつては、本当に表情ばかり見ていた。でも今は表情よりもっと大切なもんがあると思っている。
それは、存在感だ。カメラがあるから、良い表情をするのではなく、
そこに存在している、その場の空気、気分のほうが優先するのでは、と考えている。
だから、僕は、今回の撮影でも、2006年4月30日に確かに僕の目の間に、
「存在している」すがやあゆみ、を撮りたいのだ。
思いついた撮影上のテーマは、僕の好きな「待つ」だ。
明確なテーマではなく、シチュエーションとしての「待つ」だ。
●さて、カメラは何をつかうか。撮影の数日前までには、決めることになる。
昔は撮影、35mm、120、4x5とクルマに全部つめこみ、フィルムも用意して、現場で使うカメラを決めていたこともある。さすがにそれではよくないと、反省し、今はできるだけ、コンパクトになるようにしている。
●撮影場所も知らない場所なら大雑把にロケハンをする。
この場所がいいと決めてしまうことがあるが、もっと全体的に、このあたりと決めることが多い。
そして、いくらロケハンで決めても、当日は、すっかりそのことを忘れて、
撮影する時間に合わせて、光の具合をみながら最終的な場所を決める。
●僕が撮る場所は、意味性より、「その場」の光の具合、雰囲気、を重視する。
どちらかというと、無名の場所が好きだ。
僕が一番緊張するのは、撮影のまえのこの時間だ。撮影することに緊張しているのではない。
撮影しようと思うその時間、太陽の方角、あたりの光と影、風向きを、予測する。
できれば、被写体が準備万端になってから、場所を選びたいぐらいだ。
機動性のあるカメラなら、そうすることが多い。
どこで撮るかを、決めるときに一番、集中する。
●今回は、Polaroid 195Cameraという蛇腹折りたたみ、
トミオカ製のカメラを使用した。
フィルムは剥離タイプのモノクロネガつきのType665、
残念ながらすでに生産中止フィルムだ。
市場に出回っているフィルムも来年春ぐらいが使用期限。
もう撮ることができなくなるフィルムだ。
このcameraには、トミノン114mmf3.8のレンズがついている。
フィルムの大きさは6x7と4x5の中間ぐらい、とても素直な描写のレンズだ。
開放で撮るとなんともゆったりとした、大型カメラ特有のボケあじになる。
折りたたみでコンパクトだが、開放で撮るには、三脚を使ったほうがぶなんだ。
●type665は、type55と同じようにモノクロネガがついている。
撮影後、すぐに無水亜流酸ソードの希釈液につける。
完璧を望むなら、専用のラックに入れる必要がある。
それでは、機動性がないので、ぼくはタッパウエアーに重ねて入れる。
温度さえ高温にならなければ、ムラになることも少ない。
キズがつきやすいのは、そんなときより、水洗のときだ。
★ぁゅ☆姫は、今回の撮影方法に少し戸惑い気味だった。
彼女はカメラマンとの呼吸を重要視する。
ところが、カメラは三脚にすえられ、
ポラロイドフィルムなので撮り方が、一枚一枚、なんとも間をはかりずらかったようだ。
緊張したらしい。いや、最初言っていた、撮影場所とは違い、僕が思いつきで場所を選ぶので、
少し不満だったのかもしれない。
僕はあたまのなかで、「中心街の歩道」「学校の校庭」「広々としたところ」「バス停」「ベンチ」と、
具体的ではなく、そういう記号のような場所にと決めていた。
それは、どんな場合でも僕のやり方だ。最初ぁゅ☆姫と話していた場所のことは、
もうすっかり忘れていた。わけではないけど、ひとつ撮ると、次はこういう場所で撮りたいと
気持ちが変わってくる。
今回は、あくまで「僕の写真」を撮ろうと決めていた。ぁゅ☆姫の表情をひきだすことが、僕のなかでは
目的ではなかった。でも、表情をひきだすのは、正直いつでもできることだ。
それより、僕はぁゅ☆姫が僕の写真の世界のなかで、強く存在するのかが、一番のテーマだった。
だからちょっと、彼女にハンディがあることを、忘れることもあった。
ああ、カメラマンて、残酷なのかなとも思えるが、僕のぁゅ☆姫にたいしての精一杯の誠意だ。
●大型カメラで撮影するのは、被写体にある種の緊張をしいる。
コンパクトカメラのように、被写体のまわりを動きまわることもできない。
被写体は、自らが動かなければならない。
それはカメラマンからも自由を奪うことになる。
ところが、その不自由さが、ある種の魅力ある写真をつくることになる。
被写体の緊張感は、ある種のリアリティがある。
町で盗み撮したときの表情と似たものがある。
町を歩く人が、人の視線を感じ、緊張している状態とにている。
だから、この緊張感が悪いと思っていない。
ぼくはリラックスした表情も好きだが、ある種の緊張感がある写真がもっと好きだ。
だから大型カメラで撮る写真がすきなのだろう。
また、夏には撮影する予定。
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横木安良夫MINI写真展「Daydream Believer」
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Comments
TBしたのですが、やはりfc2からココログへは飛ばないようです。
大変お世話になりありがとうございました。助手・・・として役立ったかどうか かなり不安です。
Posted by: hana | 2006.05.03 02:40 PM