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2006.07.31

盗み撮り? DtoH 

Yyucho
DtoH (Distance to the Horizon)実は、この写真は盗み撮りだ。といっても被写体は知り合いです。でも彼女には許可なく、知らないうちに撮影しています。これは盗撮の「逆撮り」に限りなく近いが、スナップショットの一種です。

DtoHを撮るときには、誤解されないようにどうどうと撮るしかありません。
それには、いろいろな方法がありますが、たやすいのはひとりで撮らないことでしょう。
美しい女性、皆が振り返るような美しい女性と一緒だったらかなり、楽に撮影できます。子供を撮る時には、子供と一緒に行くのもよいでしょう。
まあ冗談でいえば、報道という腕章をつけるとか、スクランブル交差点で撮りたければ、「ローアングル撮影中ミニの人は寄らないでくださいと」看板を立てるとか。・・・でもそれじゃ、撮ることにスリルもなくかえってつまらないか。それじゃスナップショットになりませんね。

もっとも、スナップ写真、キャンデットフォトは、もともと、相手に気づかれないように撮るので、本質的に盗み撮りです。ブレッソンだって、キャパだって、木村伊兵衛だって、盗み撮りの名手でした。被写体に許可を受けて撮ったらそれは、スナップではなく、ポートレイト写真や記念写真と同じです。
それが、今や、街でスナップすることは、「盗撮逆撮り」という性的異趣味派と、「盗撮ビジネス団」によって、蹂躙されているのです。
いや、そればかりではないでしょう。せせこましくなり個人の皆被害者意識が強くなり、例えばプライバシーの侵害などという、それは国家や企業やマスコミと言った権力側が、個人の権利を侵害するからこそ、必要なことなのに、街で撮影されただけで、プライバシーの侵害だとわめく人が多すぎます。弁護士の多くも、黙って撮られたくない個人の権利は、守られるべきだと簡単に言うしまつです。それならば、国家権力が常に監視している、繁華街の監視カメラはどういうことなのか。国家という権力が一方的に、撮影しているではないですか。

僕は、街でスナップをする。盗み撮りもします。黙って人の顔も撮ります。それについてどう思っているのか、よく聞かれるので、かなりラフで乱暴な意見ですが、書いてみます。

●僕は、街でスナップすることは、本当は今も昔も変わらないと思っています。
都会などは、昔と較べるととても撮りづらい。カメラを持って歩いているだけで、皆の敵意のある視線を感じます。かつてだったら、例えば電車のなかで撮影していて、撮った相手と目が合ってしまったら、軽く会釈するぐらいですんでいたもの。もう30年もまえだから、それじゃロバートキャパが、日本を写真の天国、スナップ天国だと言ったことと同じで、そんなのはるか昔のことになりますが。
いまじゃカメラを向けただけで騒ぎ立てる、人たちがいます。
それもプライバシーの侵害だとか、肖像権の侵害だとか・・・。
正直僕はそんなこといわれても、全然気にしていない。
それは、肖像権の侵害があくまで親告罪だから。だったらどうぞ訴えてください。受けてたちます。
びくびくすることは、ないのです。絡まれたら、
「分りました、告訴してください」と受けてたつのです。
警察にゆくのだって、何も怖くないのです。相手が告訴してこその犯罪だからです。
だた、受けて立てないような撮影はやらないほうがいいでしょう。
それは、盗み撮りではない、盗撮、隠し撮り、逆撮りです。そのことをしていることを、どうどうと反論できないのなら、やめるべきでる。
また、そんな疑いをもたれるだけでも屈辱的で、絶対にいやだと思う平和好きな人は、街でスナップ写真は撮らないほうがよいでしょう。
今の時代、スナップ写真を撮り発表することは、戦いです。
というのは、憲法で保障された、基本的人権のなかにある、二つの矛盾した思想の戦争だからです。
それは、13条の個人の尊重ということでしょう。プラバシーの保護もこの辺のことでしょう。
しかし、法律とは面白いもので、特に現在の民主主義社会としては、とてつもなく大きな、逆の思想があるのです。それは、21条にある、表現の自由です。
このことこそ、近代民主主義が獲得した、最大の思想です。
プライバシーと表現の自由は、矛盾しているのです。
だから、ケースバイケースで、裁判するしかないのです。

スナップする人は、漫然と撮るのではなく、常にこのことを考え自分なりに整理し、確固たる信念をもって理論武装していなければなりません。それが時代です。
僕は、スナップ写真を撮るにあたって、自分のガイドラインを持っています。
プライバシーの侵害で言えば、被写体を貶めるような場面は基本的には撮りません。基本的に僕が、思う、相手を辱めるような、醜い姿は撮りません。人格権の侵害は極力しないようにしています。
僕は、写真で真実が写ると思っていないので、僕は、僕が気に入ったものを撮るというのが、基本姿勢です。
でも、それは僕のあくまでも判断です。だから、意に反するひともいるでしょう。
でも、僕の撮った写真は、僕のものであり、僕が責任を背負い込むことに、逃げたりはしません。
告訴されたら、受けてたつしかないし、なぜ撮るのかを、僕は全精力を使って、主張します。

僕は、公道上で撮る被写体を、プライバシー状態だと認めていません。
それはぼくの写真家としての信念です。
普通に肉眼で見えることを、撮ってはいけない理由がないからです。
撮られているということに不快感を感じるなら、分らないように撮ればいいのです。
なぜなら、公道上、街を歩いている人は、素顔(プライバシー)では絶対にないからです。
他人の視線を気にせず、街を歩いている人はいないでしょう。
皆、仮面をかぶっています。そこには、他人の目は意識しても、カメラを意識していない、社会の中の個人が存在しています。
いうなれば、「社会的風景」、「社会的人物」であり、撮ってもプライバシーの撮影にはあたりません。僕はそう理解しています。
スナップやキャンデット写真とは、人間の社会的仮面を撮ることです。
ポートレイト写真とは、カメラの前で演じた、人間の仮面を撮ることです。

ただ、普通ではないアングル、例えばスカートの中は、僕はプライバシーと思っています。それは別にカメラで撮らなくたって、覗いたらプラバシーの侵害、チカン行為でしょう。でもエスカレータで見える下着は、偶然、見えたり、偶然写真に写ったって、別に問題ないと思ってます。それは見せるほうが悪いともいえるでしょう。でも、それを狙って、撮ったり、それをビジネスにすることは、犯罪といってもいいでしょう。居直って、表現の自由だと、わめいたところで、裁判に勝つことはないでしょうし、どうどうと主張できるひとは、皆無なはずです。いや謝らずに正当性を主張できるなら、裁判で負けたって、かまわないという信念があれば、別にかまいませんが。

ただ、そうやって自由にスナップした写真は、自由に発表できるわけでなありません。
まず、広告にはつかえません。それは、タレントと同じようにパブリシティ権という、肖像権が無名の人間にも発生するからです。
巨大な営利を産むことには、それなり許可と対価がいるでしょう。
どこで発表するかというと、「報道と芸術」の名のもとにです。

それこそが、表現の自由です。
ジャーナリズムとアートは、近代民主主義の、個人が獲得した最大の武器です。
そこでは、かなりきわどいことさえ、表現できるでしょう。
何度もいいますが、信念さえあれば、訴えられて、もし裁判に負けてもいいのです。
罰を全うすれば、またその信念を、再度実行することは可能です。
民主主義の社会とはそういうものです。
そして、それが表現者というものです。

肖像権関連

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Comments

なんでそんなに、喧嘩腰なんだろう。
そうね。もちろん喧嘩腰で写真撮っているなんて、ナンセンス。平和にやりたいよね。楽しく。でも、撮る前から、社会がとか、個人がどうだとか、自分で考えもしないで、避けてゆくのは違うと思う。ぶつかるときは、ぶつかることを恐れない。悪ければ謝る。個人的に注意されたら、真摯に対応する。でも、社会の風潮とかで、まるで言葉狩りのような自己規制は一番危険だと思う。

Posted by: 横木安良夫 | 2006.09.16 10:35 PM

肖像権について以前のTEXT

●ひとりの若い写真家が、ある著名な老写真家を撮った。
彼は自分の個展のために、その老写真家のポートレイトを使いたいと思った。
肖像権があるから、かってに使ってはいけないのだと考えた。
それがマナーだと思ったのだ。
彼は、老写真家に電話をした。
すると、その老写真家は烈火のように怒ったという。
「その写真は、君が撮ったのだろう!だったら君の写真だ!君には責任がないのか!いちいちそんなことで電話をしてくるな」ガチャン!!

●この意味は重い。
今写真家は、自分が撮ったものは、自分のものだという心構えがあるだろうか。
写真はただ、世界を複写しているだけじゃないのだ。
複写するだけだったら、機械だってできる。
そうではなく、写真は世界を見る、鏡であり窓だ。
世界と接点を持つことこそが、写真を撮ることだ。
それこそが、写真が芸術である最大の意味だ。
美しいから、写真が芸術なんかじゃない。
美しいか、醜いか、どちらも現実世界にあることだ。
それと、正面から向かい合うことが、写真なのだ。

そこでシャッターを切る。

撮られた相手が、その写真を使ってほしくないと言って来た。
当然だろう。二十年も前の写真を、例えそのときOKしたとしても、もう気がかわっている。
「No!」
そのとき、初めて写真家は、自分が撮った現実と向かいあうことになる。
ただ訴訟をしても、使いたければ、使えばいいことだ。
根性があればする。なければそれでもいいじゃないか。
もし、訴えられて、罰せられても、それが芸術だと思えば何も恐れることはない。

一番、恥ずかしいのは、誰に言われなくても、
のこのこひっこめることだ。
写真は、現実と向かい合うからこそ、芸術なのだ。
だからそのことによって、生じるトラブルにも責任があるということだ。
「老写真家が、撮ったのは君だろう?だったら君の写真だ」
というのはそういう意味だろう。
そのことで、社会から批判を受けることも、
賞賛されることも、
写真家は全部受け入れなくてはならない。

だから、誰でもができるわけなはないだろう。
だからこそ、誰もが写真家になれるわけじゃない

Posted by: alaoyokogi | 2006.08.02 12:49 AM

撮る側のやはり意識の問題だと思います。スナップ写真を撮るということは、絶対に現実を掠め取るわけだから、撮ったものに責任や、そこから生じるさまざまな問題は受けてたつしかありません。だから写真を撮ることは、意味があるし、面白いのです。

Posted by: alaoyokogi | 2006.08.02 12:39 AM

はじめまして。私も街で写真を撮り、また、それを写真展等で発表している立場として、いつも考えていることです。そして、横木先生のこの記事に、その答えをいただいた気がします。ただ、私が、先生のように「自分のすべてをかけて、その場に向かっているか」ということに、また自問してしまいます。警察に通報され、フィルムを提出した経験もありますが、何もやましいものは撮っていないという自信があって怯むことはありませんでしたが、かといって、キャンデットフォトは、実際に出来上がる写真もとても道徳的に微妙な場合があるようにも思います。私も、撮るか撮らないかの判断は、「貶める」ようなものかどうかというところに置いています。これからも、考えながら、撮っていこうと思います。
ありがとうございました。

Posted by: 吉田ヤスヤ | 2006.08.02 12:30 AM

Blogでよく「人を撮る行為が苦手」という意見が多く、そうした人たちが大抵「肖像権」等に怯えています。横木先生の気合のようなものが感じられて「納得ぅ~」してしまいます(笑)

Posted by: アーリー | 2006.08.01 10:35 PM

初めは、笑って読んでいました。けれど、
読み進むにつれて笑えなくなりました。
写真に向き合う
気持ちとか、信念とか、上手くいえないけれど
横木さんの写真への執着を感じました。

けれどそういうのが、
写真に対してすごく誠実でひたむきで

プロというものはそういうことかと
メシを食うとはそういうことかと
生半可な気持ちが恥ずかしくなります。

すごい。

Posted by: ひとみ | 2006.07.31 10:53 PM

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