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2006.09.15

写真展「ZEN PHOTOGRPHERS」

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目黒のアートフォトサイト・ギャラリーにて、
「禅フォトグラファーズ」というテーマでグループ展が開催されている。
9月12日より10月28日
参加者は、ハービー山口、小林基行、中乃波木、大和田良、そして私、横木安良夫だ。
写真展のコンセプト、作家紹介は、ギャラリストの福川氏のBlogをご覧ください。
●僕は、阪神大震災のおりの、高速道路の崩壊写真を、2mx3mに引伸ばし展示している。十分大きいが、20mx30mに引伸ばしたい衝動がわく。この写真がなぜ「禅」なのか。それは実際に会場でその写真を見ればわかるだろう。
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阪神大震災の写真以外に、最近撮っているDtoH(地平線までの距離)からも3点展示している。
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★以下 ギャラリスト福川氏から転載

9月12日からグループ展"ZEN フォトグラファーズ"が始まった。癒されたり、悩みから開放されるような作品をセレクションしたグループ展だ。"禅問答"という言葉があるように、言葉で非常に表現しにくい概念がテーマだ。本展のプレスリリースの内容執筆にはわかりやすい表現が見つからないで苦労した。結局は、"禅"というキーワードを胸に作品を見て感じてもらうしかないない。

本展では横木安良夫が1995年に撮影した阪神淡路大震災時の阪神高速倒壊の写真を2X3メートルの大きさで展示している。これは震災のドキュメントではない。4x5大判カメラで撮影された作家のパーソナルな視点でとらえた風景写真なのだ。巨大作品の前に立つと、 まるで自分が現場にいるかのごとく錯覚する。社会生活を送る現代人は日々、色々なことに思い悩んでいる。しかし、このような天変地異が引き起こした世界を目の当たりにするとそんな悩みや不安はちっぽけなものだと気付くのだ。できるだけ多くの人に横木の作品を体験して何かを感じて自分を見つめなおすきっかけにして欲しい。

ハービー・山口は、ミュージシャン、市井の若者の親しみやすいポートレートで知られた人気写真家だ。今回は、ポートレートではなく彼のモノクロームの風景写真を展示している。実は2003年に刊行されたポートレート中心の写真集"piece"からのセレクションだ。彼のポートレートが素晴らしいのは、その親しみやすいキャラクターと人間愛を信じて疑わない確固とした世界観による。雲のようなふわふわした気持ちよい話ぶりに被写体は魅了される。そしてすべてが受容されたことで心が和み自然な表情が引き出されるのだ。実は同じ自然体のアプローチは彼の気持ちよい風景写真にも感じられる。優れた写真家のスタイルは何を撮影しようと不変なのだ。今回の展示作品はエディション数30点で販売することにした。

小林基行は、現代の美人画をテーマにした女子高生のポートレートで知られている。一方で"Days of Heaven"シリーズなどで、自らが癒される写真にこだわって作品制作を行っている。今回展示するのは、森のなかで撮影した"Tree Scapes"シリーズで自然の"ゆらぎ"を表現しようとしている。不規則に動くもののなかにも"1/fゆらぎ"のように一定の法則が存在する。風、波、川のせせらぎなどはその代表として知られており、人間の感情や生体リズム、癒しとも関係している。彼は自分が心地よいのはゆらぎであることを意識して今回の作品制作に取り組んだ。小林の写真は見る人を元気にさせるといわれるが、ゆらぎがその謎を明かすキーなのかもしれない。

中乃波木は20代後半の若手写真家だ。"White times"では地元石川県の雪を撮影し90cm四方の大判作品に仕上げている。中は、自分は子供のころから怖がりだったが雪の中にいると安心感を感じたという。子供のころの外の大きな世界への恐怖は、大人になると人間関係が作る社会生活での恐れや悩みとなる。雪の中は砂漠のように完全に抽象化された世界だ。そこに身を置くことで中は癒され、瞬間的に社会のなかの自分を客観視し、癒されるのだろう。現代人の多くがもつ悩みへの対処法が提示されていると思う。中にとっての"雪の世界"と同じ何かを見る人それぞれが持っているはずだ。作品に触れて、その何か見つけだすきっかけにして欲しい。

大和田良は昨年の個展でも一部展示した、瞑想感が漂う"World of Round"シリーズからの作品がセレクションされている。本シリーズは2005年スイス・エリゼ写真美術館が開催した、次世代の50人の写真家を選んだ"re-Generation"写真展に選出された作品だ。記念写真集にも掲載された作品のオリジナルが鑑賞できる。アクリルに写真作品を貼り合わせるのが現在、特に欧州で積極的に取り入れられている制作手法なのだ。次の展開が心待ちの若手作家だ。

"禅(ZEN)"といってもアーティストの表現方法、モチーフ、癒し方は千差万別だ。ぜひ心が疲れ気味の多くの人に鑑賞してもらい、それぞれの癒しのヴィジョンを見つけて欲しい。また作家希望の人も"癒し"は作品として意識してもらいたいテーマだ。

ギャラリストは禅問答大歓迎。私をギャラリーで見つけたら声をかけて欲しい。
開催期間は10月28日(土)まで。午後1時から7時まで、日曜、月曜は休廊。


アート・フォト・サイト・ギャリー

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