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2006.10.27

写真集の作られ方Vol.03

横木安良夫写真集「あの日の彼 あの日の彼女」TEACH YOUR CHILDREN 1967-1975
の作られ方 VOL.03     VOL.01   Vol.02


出版物の制作は、いろいろあるが、写真集の場合でも、企画後撮影することもあるが、今回のような場合は、まず完成した写真ありきだ。作品じたいが企画なのだ。その作品をもとに、出版社に企画が持ち込まれることになる。正直、ここまでで90%以上のエネルギーが投入される。なにしろ、今の時代、このような純粋な写真集を作ってみようと思う出版社は少ないからだ。それは、前回のVOL.02で書いた。
ただ、出版物にするときの、写真のメリットは、かなり完成品に近い見本が作れることだ。それは構成してデザインすると、ひと目でその本の内容がわかるということだ。そのへんが文章の本と違う。欧米のビジュアル本は、各書店が、自分たちの目利きによって、本を取り揃えるので、ブックショーなどでこれから出版される、見本の本をみるだけで、瞬時に売れそうなのか分る。そういう意味で、海外の書店は、立派なビジュアル本が多いのだろう。
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間違いがあれば、(かつては誤植といった)、赤い字を入れて修正することになる。

さて、出版社が決まりると、次は具体的な制作にうつる。
今回の場合、写真の構成やデザインの骨子はすでにできていた。その状態で出版社にプレゼンしたからだ。
出版が決まった段階では、最終制作に移ることになる。
出版社側の条件のひとつに、取り扱っている「紙」から選ぶことだった。紙は印刷物コストのなかの大きな部分だ。各出版社、さまざまなルートから紙を仕入れる。力関係によっては、印刷所のいいなりということもある。(特に価格面)。幸い今回出版してくれるアスコムは、料理本など、さまざまなビジュアル本を作っている。通常から写真向けの紙を使っている。4種類提示された用紙は、微妙な違いで、どの紙もこれはいやだというのはなかった。写真集の性質上、あまり白い用紙、青みがかった白は排除してある。温かみのある紙がベストだと思っていた。
結局選んだのは、VマットJ2,110mg,写真集としては少し薄い紙だ。それでも352ページもあると、本文だけで2.45cmある。ソフトカバーなので、あまり厚い紙を使うと開きずらくなるので、このぐらいがちょうどいいだろうということになった。本のサイズは、A4変形、幅210mm高さが245mmだ。
10月x日 ツカ見本ができあがった。使用する紙、ページ数、サイズで、一点ものとして作ってもらう。これはどんな写真集でもやることだ。やはり本は、触って、持って、初めてイメージがわく。手に持って、その用紙のめくったかんじなんかも確かめる。本によって、手触り感はとても重要な要素だ。
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さっそくダミー用にレーザープリンターで出力したデザインされた表紙をつけてみる。
今や、プリントは印刷物と同じようなコーリティだ。限りなく、本番と同じようなできあがりだ。もう一度、手に持って重さや、感触を確かめる。こんなふうに、出来上がりを想像しながら、ページをめくり、手から身体、五感をフル動員して確かめる。ある意味至福なときでもある。
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10月x日 アスコムの編集者、凸版印刷の営業、技術者、アートディレクター原さんと僕で、原さんの事務所で打ち合わせをする。すでに出来上がっている、本文(写真部分)の入稿をするわけだが、そのまえに、テストプリントをしてもらうことにした。テストプリントは、同じ用紙を使った、写真集のなかから数カット選び、テストとして印刷する。写真集ではよくやることで、印刷所と、カメラマン、アートディレクター、編集者間で、どういう色調にするかのコンセンサスを取るためだ。
これは、デジタル以前、銀塩時代でも同じだ。それは、原稿と、印刷物は、全く違うしくみで、作られているからだ。今回は、モノクロのでも、ダブルトーン印刷だ。インクジェットでプリントした写真を見本にしても、そのとおりに印刷できるわけではない。インクジェットはなしろいまや、8色も使っている。それをたった2色のインクで再現する。そこにはきわめてプロフェッショナルなノウハウが使われている。
その微妙な色調、グラデーション、黒のしまりかた、ハイライトの残し方など、製版者が理解して、印刷物として再現することになる。それはある意味技術だけでは収まらない、感覚作業でもある。製版者が変われば、印刷物もかわるのは、当然だ。だから、印刷の場合は製版者は、かなり重要視され、技術者というより、アーティストの面もある。だから有名な製版者をわざわざ指定することもある。凸版だと、山本さんや甲州さんがスター製版者だ。
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今回、ページ数もあるので、あまり重々しい印刷にすることはさけたかった。印刷上の完全なハイライト(紙の色)から、完全な黒。その間の豊富なグラデーション。それをオフセット印刷で再現するわけだ。そこにはさまざま解釈がある。そのへんを、製版者と僕や原さんがいかに、共通認識を持つかが大切だ。
そのために、4カット選び、インクを変え、調子を変え、テストだししてもらうことにした。
その報告は、次ということで。

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