写真集の作られ方Vo.8
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この写真集は、板橋にある凸版印刷で印刷される。今日は朝9時から刷りだしだ。
右側の写真が、初校(校正刷り)で基本的にOKをだしている。この折は小さな指示はあまりなかったので何もかいていない。ただ実際は、黒のしまりがいまひとつなので、本刷りでは、二色(スミと薄スミ)のうちスミ版の濃度を増して、黒をしめて刷っている。
前回も書いたが、印刷では、製版と、本刷りが一番重要だということだ。バランスのよい版を作っておけばかなりすりで、自由にコントロールできる。
印刷があがったばかりの印刷物は、紙にも湿り気があり、インクも乾いていない。そのため最初は黒がてかり、シャドー部がつぶれ気味に見えているが、見る見るドライダウンをして、黒が明るくなってくる。通常は印刷所でみなければ、輸送の間にドライダウンが進み、本番に近くなるが、工場での刷り上りほやほやははドライダウンの部分を計算にいれなければならない。それはインクジェットでもあるし、銀塩プリントでもある。しかし印刷のドライダウンはかなりシビアだ。
今回は女性のプリンティングディレクターだった。彼女がつきっきりで、こちらの要望を聞き、印刷技術者をコントロールする。校正刷りでは、折によってかなりばらつきがあったが、本刷りではしっかり黒の調子を折ごと、そろえることになる。だからこそ、本刷りが重要なのだ。
通常僕は、印刷所が用意した校正室であがりを待っている。刷り上るたびに本刷りを校正室でチェックをする。ときおり直接印刷機のある場所で刷り上りを確かめこともある。そこはまさに印刷工場というところで、インクの揮発性の匂いがぷんぷんとし、印刷機が高速で回っている。自分の写真がしだいに刷り上ってゆくところを見るのはとても興奮する。
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