4種類の写真のある、写真展
★本日12月9日(土)pm6時半~7時半まで、安珠VS横木安良夫のトークショーがあります。
写真集お買い上げの方は、優先的に座れますが、そうでないかたも参加できます。どうぞお誘いあわせのうえご参加ください。
写真展告知
写真集について
特装版をNetで購入希望の方
Amazonで購入できます。★そろそろ、納品される予定です。
★写真集のなかの写真のほとんどは、デジタルアーカイバルプリントとして販売しています。
●12月9日(土) pm1-9、●12月10日(日)am11-pm8 ●12月11日(月)pm4-9、●12月12日(火)pm4-8●12月13日(水)最終日、pm10-pm5 この時間帯に、横木安良夫は、在廊しています。気軽に声をかけてください。
● 今回の写真展は、写真集「あの日の彼、あの日の彼女1967-1975」お披露目の意味が強いけれど、写真展としてはユニークなコンセプトの展示になっています。それは三種類のオリジナルプリントが展示されているということです。
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★ひとつめは、ビンテージプリントです。写真展会場に入ってすぐ額装された、8x10の印画紙にプリントしたビンテージプリントです。ビンテージプリントとは1980年以前のいわゆるバラ板印画紙以前のプリントで、アーカイバル処理を考えていない時代の作者自身のプリントを指します。アーカイバル処理をされていないとはいえ、適切な現像、定着、水洗、乾燥をすれば保存は問題ないと考えられています。今回展示してある1971年に、作者自身がプリントした(フジブロマイド、F2)作品も、印画紙裏面にはわずかな黄ばみありますが、画像自体にまったく劣化していません。それほど銀塩プリントは丈夫だとういうことでしょう。また、フラットニングは、フィロタイプ処理されています。
★ このビンテージプリントの中の3点はネガが不明で、プリントはどれも非売品です。1971年当時、カメラ雑誌はネガ入稿でした。プリントはあくまで見本だったのです。そのときカメラ毎日に掲載された4点のネガが紛失しています。
●会場の奥、ビンテージプリントより少し大きめの12x14インチサイズの印画紙にプリント額装された写真は、今回この写真展のためにプリントしたニュープリントです。印画紙はフジ、レンブラントというバラ板紙を使用しています。
写真は1967年から1975年に米軍住宅(ハウス)で撮った写真を選びました。あの頃横田基地のある福生には米軍住宅がたくさんありました。福生の米軍住宅は他の基地の住宅と違って、フェンスの外に広がっていました。ゲートがあるわけではなく、誰でも自由に出入りできました。僕はそこにたびたび通いました。67年、最初に訪れた頃は、米兵の子供たちをたくさん見かけました。当然なことで、当時ベトナム戦争まっさかりの頃。でも僕は憧れていたアメリカがそのままそこに存在していることに夢中で、無邪気にあそぶ子供の表情の心のなかに、彼らの父親たちが戦場で生死のはざまにいる不安を抱えているなんて、想像力にかけていたのです。
★この銀塩ニュープリントは、プリントサイズ11x14インチ、額装込みで、52,500円で販売しています。
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★壁面いっぱいに展示してあるのが、デジタルアーカイバルプリントです。この数年でデジタルプリントは飛躍的にコーリティが高まり、その品質は銀塩と同等になったと考えられています。プリントはエプソンのPX5500.現在唯一といっていい、モノクロの色調を自由にコントロールできるプリンターで作られたものです。ペーパーは、ベルベット・ファインアートペーパーです。エプソンではピエゾグラフィーと呼んでいるようです。
●デジタルプリントのメリットの最大の特徴は2つあります。1つは写真の調子を、作者の100%コントロールのもと、意図するようにプリントを完璧に仕上げることも可能です。そしてもうひとつの特徴は、その完璧にコントロールした作品を一点ものとして、数十枚、数百枚単位で、まったく同じものを作ることができるということでしょう。そういう意味で銀塩プリントよりかなりリーズナブルに価格を設定することができます。しかしそれは決して安価だからコーリティが落ちるというわけではなありません。コーリティは銀塩同等、場合によってはそれ以上のこともあるぐらいです。
★今回写真集に収録されたほとんどの写真は、デジタルアーカイバルプリントとして販売しています。A3ノビサイズ、専用の額に入りで、18,900円です。
★銀塩ニュープリントも、デジタルアーカイバルプリントも写真展が終了したのちも、アート・フォト・サイト・ブリッツ・インターナショナルで永続的に購入することが可能です。プリントは販売とは、展覧会をしているとき以外にも購入できることが重要です。それには作家はギャラリーと契約しなければなりません。
さて、4番目に、今回はさらに写真集という違うメディアが同時に存在します。
オリジナルプリントと写真集は当然その楽しみ方が違います。写真集は本というメディアの性質上、手に持ち、触れながら、ページをめくり、多くの写真を、まるで音楽が時間の芸術として際立っているのと同じように、写真を見ながら「時間」と見る人の経験や記憶を縦横にイマジネーションの旅をするものです。
写真は、そこに写っている情景だけを認識するものではありません。そこに写っているものと、見る側の記憶の断片とのセッションなのです。他人が経験した風景なのにまるでデジャブのように見たことがあるような気さえするでしょう。特に今回のようなページに白地をとった文字のない写真はは、立ち落としの写真や、写真に説明文が直接入った写真とは違った不思議な経験を見る人にあたえます。もっともご安心を、巻末に撮影年号と撮影地はかいてあります。そういう見せ方は、本来写真集ではごく普通なことですが、純粋に写真だけをぱらぱらと見る気分は、写真だけのもっている表現です
話が重複しますが、日本では写真は立ち落としといって前面写真が多いようです。または余白にテクストやタイトルをレイアウトする。文字を入れずに余白を取った写真は、作品を静的に見せるためではありません。余白のない写真、立ち落としの写真は、読者を画像のなかの世界に直接引き込み、フレーミングを忘れさせる効果があります。(僕の師匠だった篠山紀信さんは絶対立ち落とし派です)。余白のある写真は、写真のなかに見る側を誘導しながらも、あう意味、見る側を突き放している、微妙な距離感を要求しています。だからの画面のなかに入り込むには、それなりの努力が必要です。常に画像の外側にいるという印象になると思います。ささいなことですが、それが見る側に微妙な心理状態を起こさせます。
★オリジナルプリントを買う動機、楽しみ方について書いたTEXTです。長文です。
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Comments
まきのさま
あれは、千葉県船橋にある、かつての船橋電波塔の跡地です。そこから「ニイタカヤマノボレ」が発信されたそうです。このとき鉄塔は解体中で、ビルの屋上からしたを眺めたものです。p152,174,175もそうです。今は公園になっているのかな。
Posted by: alaoyokogi | 2006.12.09 10:28 PM
初めてコメントさせていただきます。
4種類の写真のある、写真展。
とても興味あります。
見たかったです。
その時代にしか出来ないものがあるんですね。
私も今のうちにたくさん焼いておこうと思います。
現在最高のデジタルプリント、見てみたいです。
Posted by: ben | 2006.12.09 10:22 PM
横木様
こんばんは。
本日は写真展にお邪魔させていただき、ありがとうございました。
その後用事があったのであまりゆっくり見られず残念でした。
写真集のP.87、不思議な十字路の写真がなんだか好きです。
また、いろいろな写真を見せていただければと思います。
Posted by: まきの | 2006.12.09 08:25 PM