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2008.05.18

アマゾンレビューに又やられた。

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●5月22日(木)~28日(水)まで、四谷にある、ポートレートギャラリーにて、
横木安良夫写真展「Glance of Lens~レンズの一瞥~」を開催します。詳細
am10時からpm6時まで。会期中は無休です。最終日はpm2時まで。
★5月24日(土) pm6時~8時まで、タカザワケンジ氏とスナップショットについて、ギャラリートークをします。
●5月10日に、エイ出版社より、
「横木安良夫流スナップショット」を発売しました。詳細
★「横木安良夫流スナップショット」は、写真展会場でも販売しています。横木は会期中基本的に会場に詰めています。サインをしますので、気軽に声をかけてください。
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★アマゾンレビューに、またやられた。

アマゾンのレビューっていつも、困惑する。ペンネームは問題ないとして、その名前で多くのレビューがあればその評者の価値観や人格が分かるが、匿名としかいいようのないペンネームで、極端に批判するレビューは卑怯だと思う。特に全否定するような場合には、書き方があると思う。そういう否定的な内容は、自分のBlogなどでどうどうと書くことだと思う。

さて、僕の「横木安良夫流スナップショット」について、こんなレビューが載った。

読むところがない, 2008/5/17
By siro - レビューをすべて見る

著者の過去の作品と、スナップショットについて思うところをまとめた本です。
肖像権等の法律論にかなり紙幅を割いていますが、用語も論理構成もかなり粗雑です。(著者は、民事と刑事の区別もついていないのでは?)また、撮影技術についての記述も、ズームレンズ普及以前から写真を撮っている者には当たり前の内容と思われます。ある程度若い世代の方ならそうでないのかもしれません。少なくとも法律論の部分については、編集者が助言すべきだったと思います。

●反論
民事、刑事の区別を知らないわけはないでしょう。マア法律用語に関してファジーなことは認めるけど。
のぞきのようなわいせつ的な盗撮は刑事事件。でもいわゆる街でのスナップ的な盗み撮りは、のぞきのような猥褻性がなければ、警察は介入できません。
被写体は肖像権侵害を主張することは当然です。ただ親告罪なので民事訴訟するしかありません。
実際は撮影時より、発表するときが問題ですが。

さて、僕がこの本のなかで書いたことは、警察が介入しないストリートスナップの肖像権の問題を、弁護士に聞けば、公道上においても他人を黙って撮ることは、立派に肖像権侵害だと、ほとんどの弁護士が答えるからです。
街で、他人を撮るには、承諾を得ることが必要、当然発表も承諾が必要だと結論されます。
きっと法律的にはそうなのでしょう。
たしかに日本写真家協会の肖像権ハンドブックにもそう書かれています。
それでは、スナップショットの死です。
では、スナップショットは撮ってはいけないのか。
それがテーマで書いた本です。

●僕はここで、厳密に法律的なことにこだわってません。
大きく言えば、憲法上の権利を書いたのです。

表現の自由についてです。スナップショットについて、僕個人のガイドラインを書いたのです。

★なぜスナップをしてよいのか、それは偉大な先人達が作り上げた写真の歴史、多くのスナップ写真を撮った歴史があるからです。今、僕たちがスナップを撮ることができるのは、その築き上げられた写真文化のおかげなのです。だからスナップ写真を撮るなら、現代に繋がるスナップ写真の歴史の概要ぐらいは知ってほしいというので、写真の歴史のダイジェストまでしています。

★さて、公道で「盗撮だ」と警察に突き出されても、撮った写真に犯罪性がなければ、警察は介入できませんと書きました。問題になるのは、ほとんどが覗き行為だと。
本では書きませんでしたが、当然僕は、ノーファインダースナップ(盗み撮り)をしていて警察に突き出された経験もあります。
そこで、刑事とその点を話し合ったこともあります。
いまや幸いデジタル時代、撮った写真をすぐに確認することができます。何を撮ったか証拠が残るのです。
自分が撮った写真をどうどうと警察で見せればよいことなのです。
問題なければ、国家権力によって守られることさえあるのです。
なにより、なぜ撮っているのか、きちんと主張することが必要なのです。

同じことを何度も書きますが、警察が介入できなくても、もちろん被写体は民事訴訟ができます。
僕の論旨は、そういうことを分かった上で、現実的なことを、書いています。

表現の自由がある、民主主義社会では、芸術やジャーナリズムは、法律に対して、戦う権利があります。
もし負けたとしても、ジャーナリスト、アーティストは、恐れることではないのです。
負けたとしても、それはあくまで個別的な敗北でしかありません。
自分の信じる芸術的、ジャーナリスティック的な表現があるならば、
それは再び表現の自由によって、守られます。
再びスナップ写真を撮ればよいのです。
全体主義と違い、民主主義社会の「表現の自由」とはそういうものだというのが、僕の論旨です。

●もう一つおまけに、なぜ僕がことさら「表現の自由」を持ち出すのかといえば、それは僕は、匿名の表現者ではないからです。
匿名の言論は、検閲など、国家権力やある種の権力組織、自分が物理的に不利益になるときのみ、評価できるものです。
特に、個人の批判的な批評や攻撃は、匿名では無効だと思っています。
特に、作者を否定したような書き方のアマゾンの一方的なレビューはいつもそういう意味では、不快です。
僕は表現者として、逃げも隠れもしません。どうどうと批判してほしい。


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Comments

横木さんの本を拝読させて頂きました。

一アマチアスナップカメラマンとして、ご意見に全面的に賛同します。

最近出た、着衣の上からの女性の撮影行為を有罪とする最高裁判決等、
街中でカメラを持ち、スナップ写真を撮っているだけで、犯罪者扱いされかねない昨今の風潮に危惧しております。

民主主義国家においては、国民一人一人に自由権が保障されており、
スナップ写真の問題では、
被写体の肖像権等の権利と、撮影者の表現の自由、双方の権利の比較考量により議論されるべきだが、被写体の権利ばかりが主張され、撮影者側の表現の自由を著しく制限されているように思えます。

今後は撮影者側も、積極的に権利と言い分を発信していく必要があるのではないかと思います。

Posted by: 近藤洋治 | 2008.11.17 06:36 PM

まあ、まあ、アフェリエイトになっているかどうかは、関係ないことで、どちらでもいいし、それは資本主義社会では決してセコイと思わない。僕がいいたかったのは、反対意見を言うには、それなりに言い方があると思っているだけです。しかもアマゾンの場合はそのページにいつまでも貼り付いているのだから、著者としてはちょっと気分が悪いといった素直な感想です。ネットは匿名性が最大の武器だと強調しすぎると、結局は規制とかで権力が介入してきます。ユーザーの暗黙の秩序は必要で、それが権力の介入を排除することだと思います。

Posted by: alao | 2008.05.30 10:08 PM

匿名さん、
そうですかねえ。横木さんはこの件に関してAmazonでの評価内容に「反論」されているのであって、とくにアフェリエイト誘導やご意見の封殺とは思えませんが。その証拠にコメントは削除されていませんよね?

Posted by: kikuchi | 2008.05.29 05:13 AM

ネットの世界は匿名でさまざまな意見があるのが常識。受け取る人が取捨選択すればよいのです。
自分に都合のよいレビューは特に言及せず、都合の悪いレビューだけ批判しているあたりを見ても、ネットの世界を理解していないと思います。
また、レビューへの批判と見せかけて、実際はAmazonのアフェリエイトへのリンクになっているあたり、せこいです。
このコメントも都合が悪いので削除されてしまうのでしょうか(笑)

Posted by: 匿名 | 2008.05.21 10:28 PM

横木さんの志の高さと、素晴らしい表紙にやられてしまったので、Amazonに注文してしまいました。

街中のスナップが好きですが、人に向けるのがはばかられている小心者の私には、ただプロの先生というよりも、偉大な先駆者の姿であり、この本も頼れるバイブルとなりそうな気がします。

Posted by: kiyo | 2008.05.20 08:50 PM

横木さんの発言、支持します。

ときどき記事を拝見させて頂き、また参考にもさせて頂いておます、市井のグラフィックデザイナーです。遊びで(時々仕事で)写真を撮っていますが、遊びといってもやはり自分の考えを表現する為の手段としての写真に、強く惹かれているものですから、肖像権の話は勿論、ネット上での匿名による批評なり批判の無責任な行為に対しては憤りを感じておりました。
私自身、以前匿名でプログを続けていたのですが、それはやはり卑怯なこと、無責任な行為であるということを自覚し直し、怖々、ブログを著名記事にして再開したという経緯もあります。
匿名よる発言は、まるで独裁国家における密告にも似て、人の信頼関係を裏切っていくもののようにも感じます。考え方や意見の違いはあって当然なのに、異なる発言をするために匿名にするというのは、その時点ですでに怯えている、負け犬の遠吠え、のようにも思えますね。
私の支持なんぞなんの足しにもなりませんが、横木さんの発言に共感いたしましたので、コメント入れさせて頂きました。

Posted by: 鎌田正志 | 2008.05.19 10:27 AM

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