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2008.08.31

SIGMA DP1 マニアック・マニュアル まえがき

Gyoendocomo
PM5:21 明治神宮 参宮橋口 宝物殿前 シグママニアックマニュアル P28 本文ではBWになっています。
写真をクリックすると拡大します。
●大胆に手を足を伸ばして寝ている。よくみると中年の女性だった。近づいても気づかないので何枚も撮った。周辺を撮ったあと、またきてみると同じように寝ていた。
Dp1cover200
●おかげさまで、DP1マニアック・マニュアルは、好意的に受け入れられ、初動売れ行きはかなりよいみたいだ。DP1のような小さなマーケットのカメラのムックがでることでじたい、きっと初めてだろう。シグマとしても自社の製品のムックができたことを素直によろこんでくれた。
これは通常のカメラのムックのように、説明書ではわからない多機能な操作を、やさしく解説する本ではない。なにしろ、DP1は少機能であり、極めてシンプルなカメラだからだ。
この本は、カメラの使用法ではなく、DP1を持った一人のカメラマンである僕が、何を考え、写真を撮ったかのドキュメンタリーなのだ。だから一般論ではない。やさしく解説したけど、深い意味がある本だと思っている。
で、この本の、まえがきをちょっと紹介したいと思います。

はじめに   横木安良夫

 SIGMA DP1をはじめて触ったときの戸惑いは忘れられない。小ぶりな化粧箱の隅っこに、主役であることを遠慮するかのように、そのカメラは潜んでいた。バッテリーを入れ、SDカードを装填してスイッチを入れる。すばやく起動し、レンズが飛び出す。背面のモニターをのぞいてみる。最新のデジカメのモニターにしてはくすんだような画面。シャッターを半押しにして、ピントを合わせる。遅いフォーカススピード。あれと思う。JPEGにしてシャッターを押してみる。モニターに砂時計マークが表示され、消え、今度は、豆粒のような赤いランプが瞬く。その間約4秒。「なに! 1枚撮ると4秒待たなくてならないの?」。RAWはどうだろうかとテストしてみると8秒もかかる。「おいおい使えないじゃないかこのカメラ、いまどきどうやって撮るんだよ」。いろいろ触っていると、1秒間に3コマ連写できるモードがあった。試すと軽快だ。しかし次の撮影までに15秒はかかる。僕は、コンパクトデジカメの概念をはずれた、いや現代のデジタル一眼の世界からははるかに遠いこの未来カメラを、ため息をついてテーブルの上に置いた。
 DP1が開発されているとアナウンスされたときのことは、いまでもよく覚えている。コンパクトデジカメのボディにデジタル一眼級の大きなイメージセンサーを搭載。35mmフルサイズではないが、主流のAPS-Cサイズが搭載されている。なんだ、やればできるんじゃないかと僕は溜飲が下がった。なぜならフィルム時代のコンパクトカメラは、35mmフルサイズのフォーマットだったじゃないか。その半分の、ほぼハーフサイズのAPS-Cのイメージセンサーでコンパクトデジカメができないということが不思議でならなかったからだ。幾人かの技術者に聞くとデジタルは機構上、フィルムカメラよりはるかにレンズの設計がむずかしいという。
 コンパクトデジカメは、ビデオカメラの静止画から発展したようなもので、初期にはコスト的にも小さなセンサーを使うことは必然だった。大きなセンサーは、プロの機材ならともかく高くつく。そうこうしているうちに、その小さなセンサーのコンパクトデジカメは急速に進化した。僕はコンパクトデジカメはそれでいいんだと言い聞かせていた。そんなとき、DP1の発表だ。これこそが理想のコンパクトデジカメだ。そう思った。
 ところが、DP1がアナウンスされたあと、なかなか発売日が決まらない。もしかして無理だったのか、と諦めかけたところ、驚きの低価格で発売された。けっして多くが売れるカメラじゃない。小さければ安くなるわけじゃないからだ。

FOVEON X3というシグマの選択

 シグマといえば、僕はレンズメーカーというイメージをもっている。デジタル時代になり、SD14のような一眼レフも作った。それは一般的なベイヤー配列のイメージセンサーではなく、米国生まれのFOVEON X3というユニークな構造のセンサーを採用していた。当然、DP1も同じFOVEON X3を使っている。
 FOVEON X3はほかとなにが違うのだろうか。それはイメージセンサーのカラー受光部が、銀塩カラーフィルムと同じように重層的に配置されている。一般的なCCDやCMOSは、ベイヤー配列といって、ひとつの面にRGBを規則的に並べ、例えば1,200万画素ならひとつの色は600万画素(G)、300万画素(R/B)でしか受光していない。足りない分を画像処理演算によって作りだし、1,200万画素の色情報として存在させている。
 FOVEON X3は460万画素をRGB三層に配置し、色情報はダイレクトに均等に記録される。画像補間で色を作っていないため、銀塩フィルムのような自然な色再現やぼけの描写が可能だといわれる。
 ただ開発競争のあるベイヤー配列のセンサーは、進化のスピードが速いぶん有利な面もある。僕の個人的な感想は、どちらが優れているかということではなく、思想の違うものがいくつも存在することは、ユーザーとしては贅沢な選択ができる、というものだ。銀塩のフィルムだって、コダックとフジフイルムの違いは大きかった。
 さて、イメージセンサーの大きな1,400万画素級コンパクトカメラDP1を使いはじめて、さまざまなことを考えるようになった。それはDP1が、高度な趣味のカメラだと気づかされたからだ。趣味とはゆとりだ。ならば落ち着いて撮ることだ。このカメラは究極のスローカメラだ。ゆっくり撮るからこそ見えてくる世界、撮れる世界がある。だからこのカメラで仕事をすることは、めったにないだろう。仕事だったら大きなカメラだっていい。でも、日常生活を味わいながら写真を撮るなら、カメラがコンパクトであることはそれ自体が性能だ。それに小さなカメラは被写体に無用な圧力をかけない。人物を撮るとき、相手のレンズを見る気持ちが全然違う。

失敗することの大切さを教えてくれる

 DP1はいつも肩にかけ、もしくはバッグに潜ませておける。気負うことはない。撮影したくなったらいつだってカメラを携帯できる。DP1以外にもう一台コンパクトデジカメを持つことだってできる。そしてこのDP1は、気まぐれに写真を撮ろうと思ったとき、デジタル一眼と同等のクオリティをもった写真を撮ることができる偉大なカメラだ。
 でもこのカメラをなめてはいけない。漫然と撮れば、失敗ばかりだろう。でも、思い出してほしい。かつて写真をうまく撮ることは決してたやすいことではなかったのだ。どんな撮影だって、たとえばスナップ写真でさえ工夫の連続だった。工夫すればオートフォーカス以前のカメラだって動きの速いものをスナップできた。ワイド系レンズを使うなら、現代のオートフォーカスを使うよりずっとすばやく写真が撮れた。
 DP1を使っているとそんな時代を思い出す。撮影のタイミングをはかるということは、周囲を観察することだと。ファンダーを四隅まで舐めるように見るなんて、一眼レフカメラが全盛になってからのことだ。それ以前のカメラのファインダーは、照準だった。ファインダーをのぞくより、肉眼で、いや五感で周りを観察しながら撮ったものだ。屋外でハッセルブラッド500CMで速写できただろうか。DP1を使っていると、かつての中判カメラで撮ったときのことを思い出す。だからこのスローなテンポの撮影は決して特別なことなんかじゃない。周囲を感じながら撮れば写真が上達する。僕はDP1を手にして、毎日格闘した。きっとすばやいファーストカメラしか知らない人は、DP1を使うことによって、必ず写真が変わる。
 「さあ、この曲者カメラ、どうやって使ってやろう!」
Yamayuri
am9:42 山ゆり 白金 DP1MM p72 本ではモノクロで紹介しています。
写真をクリックすると拡大します。
●花を撮りたくて国立科学博物館自然教育園に行った。ところが花がぜんぜんなかった。夏の自然の森とはそんなものなのだろう。と思ったら山ゆりを見つけた。柵のなかにあったので、クローズアップレンズをつけたDP1を1脚につけ、一脚の足を又の間にはさんで、固定し手を最大に伸ばして撮った。

本の内容のさわり

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