世界の街道をゆく、でアルゼンチンにいる。「怒りの鉄犬」
「世界の街道をゆく」の撮影で、アルゼンチンに来ている。
ブエノスアイレスーロサリオ、そして今コルドバにいる。ロサリオはチェ、ゲバラの生まれた土地、コルドバといえば「母を訪ねて3000里」だろう。もっともこの取材では、それを追っているわけじゃない。
アルゼンチンは豊かな国だ。食事もうまいし、人間もフレンドリー、写真を撮らせてくれと頼んでい、まだ誰にもことわられたことはない。もっともテレていやだというひとは、いるが、無理やり撮らせてもらう。教会の中での撮影も許可なく、三脚をたてても何にもいわれない。フェンスに囲まれたプライベートの川辺の淡水浴場でも、写真をとりたいというと、OKと無料だった。なにかゆるいし、しゃくし定規じゃない。余裕がある。
ここは、日本のほぼ反対。足元を掘ってゆくと、アルゼンチンにでる。そんなギャグがあったような気がする。
広い国なので、移動が大変だ。今日はこれコルドバの街を撮ったあと、トゥクマンまで500キロ以上を移動する。高速道路が発達していも、撮影し、食事をすると8時間以上の移動だ。
今月の中ばからアルゼンチンは、2月いっぱいまで夏休だ。冬が夏。クリスマスは真夏だ。太陽は東から昇ってちゃんと西に沈むが、北に向うと暖かく、南は寒い。地図をみているとあたまがこんがらってしまう。新学期は3月、いろんなスケジュールが違う。それでも南米1豊な国で、かつてほどではないけれど、本当に豊かで文化的な国が日本から一番遠い場所にある。印象的には「鏡のなかの国」だ。聞いた話だと、日本の地下鉄丸ノ内線は、アルゼンチンの技術を学んで、作られたそうだ。同じスケールなのでそのまま逆輸入されている。本当にかつては、イタリアよりもスペインよりも豊かな、そのため出稼ぎや、移住者があつまってきた。母を訪ねて3000里もそんななかで生まれた話だ。アルゼンチンの子供たちは、その日本のアニメでその物語を、初めて知った。
獲物を待っている
主にタクシーに突進するが、小さなクルマにも突撃だ。
クルマは結構なスピードがでている。いくらぎりぎりで交わしているといえ、はらはらする。
足でも滑らしたら一巻の終わり。
コルドバ カテドラルの前の広場の道路
カテドラルの撮影を終えてたら、一匹の犬が突然おおどおりに飛び出し、車に向って吠える。特に黄色いタクシー標的だ。何を怒っているのだろうとか、と唖然としていると、タクシーや小さなん車が来るたびに道路に飛び出して今にもぶつかりそうだ。あぶない。あぶない。でも彼は平然としている。大型のバスが来ると逃げ、獲物がくると何度も飛び出す。鋼鉄の車に向い、自分も鉄でできているとでも思っているのだろうか。危険な遊びだ。まるで、カモメのジョナサンのように求道的にさえみえてくる。
★GLANCE OF LENS VOL.2 ~Girls in Motion~
発売中です。
僕がロケ中でもお求めになれます。よろしく。
A4カラー 64ページ
定価1380円 (送料こみ)
AD 原耕一
ココから注文してください。
前回は、ロシアウラジオストクで撮った、キャンデッドフォトでしたが、今回は1990年代から最近までのなかからGirlsたちを撮った、スナップショットというよりは、ポートレイト写真のシリーズから選んで、構成しています。ページは前回より多く、A4,カラー64ページ。このシリーズはアサヒカメラ、昨年休刊になったクルマ雑誌「NAVI誌」の連載、そしてやはり休刊になったデジタルフォト誌に連載されていました。
タイトルのGirls in Motionは、当時のNAVI編集長の小川さんにつけてもらいました。
基本的には、無名のGirlsを撮ったものです。もちろんその後有名になったGirlsもいます。
撮影カメラはいろいろですが、多くはフィルム時代の写真なので、4x5のテヒニカ、8x10デアドルフで撮った、ポラロイド、マニヤ67、コンタックス645、そしてデジタル時代に撮ったGRデジタルの写真などなど、バラエティーある撮影方法を屈指しています。なかでもペンライトを使ったシリーズもあるので、どんなカメラで撮ったか推察するのも楽しいでしょう。冊子にはそのようなデータは何も書いてませんが、このBLOGで紹介してゆくつもりです。
今回もアートディレクションを原耕一さんにお願いしました。前回のタイトルロゴは違うデザイン。これから毎回違うロゴになる予定なので、今後も楽しみにしてください。
購入ご希望の方は直接販売します。
詳細
2008年上野駅ガード下
2001年 大塚駅
1993年お台場 この年レインボーブリッジが完成した。
○VOL.1のときにこの冊子発行のメッセージを書きましたのでこちらを読んでください。
今年もあとひと月、いかがお過ごしでしょうか。
さて、「GLANCE OF LENS VOL.2」が完成しましたので送らせていただきます。
VOL.1は、ロシア、ウラジオストクで撮影したキャンデットフォトでしたが、
VOL.2はスナップショットではなく、「Girls in Motion」というタイトルの、
ポートレイト写真のシリーズから構成しました。
このシリーズは90年前後から撮り始め、そのなかからアサヒカメラに掲載したもの、
2000年から3年間、昨年休刊してしまったクルマ雑誌NAVI誌で連載していた分、
やはり今年休刊したデジタルフォト誌で連載したもの、そのほか未発表の写真のなかから選んでいます。
80年代後半になると、日本のファッションが、それまでのヨーロッパやアメリカをお手本としていたものから、オリジナルなセンスを発揮してきました。もちろんその前に、海外で評価されたファッションデザイナーはたくさんいます。しかし評価は常に海外にあり、日本は評価されたものを輸入するといった消費者でしかなかったのです。
それがストリートファッションと言う世界の流れのなかで、ようやく日本の独自性が誕生ました。そんな時代に生きる、GIRLSたちを撮る!
そこで街のなかに含まれる「GIRL」と、ひとりの「GIRL」が中心となった世界を表現してみようと思ったのです。
現代社会は、全体の中に含まれる無名性の個と、自意識に揺り動かされたささやかな個が格闘し、その居所をする探索しつつ、けっきょくはコマーシャリズムに翻弄され彷徨っているという現実があります。
世界と自分の距離、自分はなにかと、その座標を探す旅。いわゆる自分探し。
写真家たちは、カメラを持ちながらいつも被写体との距離、関係を考えています。
目には現実との距離計が組み込まれています。自分はどのポジションから世界を見るか。
そんなことを、着衣の若い女性を撮ることで、何かが写ったら面白いなというのが、この冊子の趣旨です。
是非、楽しくご覧になっていただけたら、幸いです。
PS. 12月1日~31日まで、現在テレビ朝日で放送中の「世界の街道をゆく」の南米、北米ロケです。
来年もよろしくお願いします。
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Comments
コメント掲載および丁寧なお返事、恐れ入ります。
>> そしてブエノスアイレスの地下をかつての丸の内線が走っているなんて、痛快です。
あの赤い車体に白帯、銀色のサインカーブでデザインされた電車が現役だというのは、日本の電車ファンとしても嬉しい話です。
Posted by: deco | 2010.12.06 03:32 PM
地下鉄丸ノ内線の件、そのとおりです。
ちょっと話をはしょりすぎました。銀座線、丸ノ内線が参考にしたようです。
そしてブエノスアイレスの地下をかつての丸の内線が走っているなんて、痛快です。
Posted by: alao yokogi | 2010.12.06 01:17 PM
>> 聞いた話だと、日本の地下鉄丸ノ内線は、アルゼンチンの技術を学んで、作られたそうだ。
地下鉄銀座線(1927年に最初の区間、浅草 - 上野間 (2.2km)が開業)はブエノスアイレスの地下鉄を参考に建設され、一方で地下鉄丸ノ内線の車両がブエノスアイレス地下鉄B線(Línea B)へ1995年に譲渡された、という話がごちゃ混ぜになっているようですね。
丸ノ内線の電車、今でも"Línea B"を走っているようです。
Posted by: deco | 2010.12.06 11:58 AM