「世界の街道をゆく」アルゼンチンロケ 横木安良夫
昨日の夕方、アルゼンチンの内陸の都市サルタから、首都ブエノスアイレスに飛ぶと、国内空港が嵐直撃で着陸できず、郊外にある国際空港に着陸することになった。時にはラプラタ川の対岸といっても数百キロの距離があるのだが、そこに着陸してしまうことを考えたら運がいい。ただ着陸しても機内で30分ぐらいバスを待ち、ターンテーブルに荷物もなかでてこない。もっともその時間があったので、迎えのバスもスムーズに待ちうけていた。
昨日は、アルゼンチンの北端の街、ウマワカにいた。高度3000mぐらい。数日前に4000mを超えた峠に上ったので、別にどってことはない。ウマワカの街で撮った写真。
アルゼンチンの人は撮りやすい。もっともインディオの人は、恥ずかしがり屋と、本当に写真を拒絶する人がいる。道路から望遠で撮るだけで、仕事をやめ後ろ向きに座りこむ人もいる。自意識過剰かとも思えるが、それは好き嫌いではなく、事情がある人もいるようだ。
それにしても、日本人が今いちばん写真を撮りずらいかな。僕が日本人であるにせよ、先日も栃木で写真を撮っていたら、警察官に尋問された。数日前に知らない男が、小学生の写真を撮っていたと通報されたからだという。どんあ事情にせよ、一種の自意識過剰にはかわりはないが、アルゼンチンの場合はとは事情が違う。
ウマワカを8時半に出発し、サルタに向う。約4時間。サルタで昼食を撮る。
内陸の盆地の都市、サルタの気温は40度もあった。それまでは気温が高くても湿度が低く、日影なら快適だったが、さすが40度はひりひりと暑い。
3時の飛行機に乗る。ほぼ満席。一番後ろから2番目の席だった。通路側の席だった。
順調に飛び、着陸態勢に入ってから、ブエノスアイレスの街を何度も旋回。
結局国際空港に着陸。
嵐のあとの街は、夕方の光が美しかった。料金所の女性。
雨上がりの街を撮影して、ラプラタ川に行った。
西のそらに雲があり、陽射しはなかった。多くの人が釣りをしていた。
街道をゆく、の撮影では基本的にスチールはポートレイト的な撮り方をしていることが多い。
もちろん、今回の料金所のように、黙って撮り、撮ったあと目があり、微笑むと言った古典的な撮り方もする。
目線が来ている写真は、写真の武器で、しかも笑顔は強い写真になる。純粋に写真としては、笑顔をならべた写真は、どこか表現の終点がわかっているようで、今の僕にとってはちょっと違うのだけれど、テレビのなか、ムービーのなかの写真としては、やはり写真の特徴である、笑顔のポートレイトは強い印象が残る。
それはムービーのなかで目線、笑顔のイメージは、そこになぜ笑っているとか、カメラの視線が、写真ほど無名性がなくなることも理由かもしれない。写真の場合は、撮る側、僕が撮る意識(自意識、横柄に言えば作家意識)まんまんなのに、不思議と映像より自然に写る。なんでだろう、なんてことを考えるのが、写真の楽しさだ。
今日の夕方から、ペルーに行く。
最近、TWITTERもやっているので、探してみてください。
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Comments
初めて、コメントさせて頂きます。
今の日本では小学生を撮影しただけで、警察が動くのですか?
私は来年には帰国する予定なので、日本のそんな状況に吃驚しています。
そんな国に帰りたくない。
Posted by: kaze | 2010.12.16 08:40 AM