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2013.05.12

なぜGRが、28mm単焦点レンズなのか? その2

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Eos5DM2 50mmf1.2 Boston 2010

その前に 脱線!

かつてプロカメラマンの大多数は、単焦点レンズを使うことが普通だった。
なにしろ、ズームレンズの性能が今とは格段に劣っていたからだ。
重いし、F値も暗い。
しかし現在のズームレンズは、それこそ性能に関してはかなり単焦点に肉薄し、
その性能差は、絞り開放のボケぐあいしか、僕には見分けがつかない。
それでも、僕はズームレンズより、単焦点レンズを今でも使っている。

例えば「世界の街道をゆく」のスチール撮影では、
EF24mm-70mmf2.8のニュータイプにEOS6Dをつけ、
MarkⅢに、EF50mm1.2の2台態勢だ。

それ以外に、ムービーでは24mmTS、24mm1.4、50mm1.2 、70-200mm2.8を使っているのだが。
スチール写真のメインは、50mm.1.2だ。
人物のポートレイトの80%は、このレンズで撮っている。

単焦点レンズのメリットは、
f値が明るいことは当然だとしても(50mmの場合、僕はたいていf2.0で使っている)
それより重要なことは、被写体を決めてから、撮る対象に寄った時、
どの距離で撮ればよいのか、完璧にわかっているからだ。

ズームは、ズームの選択を撮影の前にしなければならない。ワン動作増えてしまう。
単焦点レンズならば、考えるまでもなく、ファインダーをのぞかなくとも、
撮影位置は決まる。その場でさっと構えればよいことだ。オートフォーカスも、撮影のリズムも常に一緒だ。

風景写真の場合、レンズの画角は、撮影位置、光学的な描写の効果がほとんどかもしれないが、
人物撮影では、レンズの画角は、撮影距離が重要な意味がある。

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Eos5DM3 50mmf1.2  Costa Rica 2013

例えば、50mmレンズで横位置バストアップを撮りたければ、
被写体との距離は約1mぐらい。
そこまで近づき、ファインダーを覗き、ピントを合わせ、シャッターを切る。

そこには、光学的効果以外に、心理的な距離、
被写体のテリトリーの中に入って写真を撮るといった、関係性が生まれる。

人物のUPを望遠で撮れば、何メートルも離れて撮ることができる。
盗み撮りしなくても、気づかれないで撮ることができる。
一見、自然に撮れたような気がする。
被写体のテリトリーの外から撮っているからだ。

人間にはそれぞれ、動物のようにテリトリーがある。
広い場所で、100mも離れていればお互い気にならないだろう。
5m、3mぐらいがさほど気にならない距離。
もっとも個人的、心理的には10mでもかなり動揺することはあるだろう。

1m以内はかなりプライベートな距離だ。
そういう意味で満員電車は、かなりのストレスがあるのだと思う。
皆、感覚を遮断して我慢している。

で、写真を撮る時も、この心理的距離感をカメラマンは利用する。
それを意識できるのが、
それを重視して撮るには、単焦点レンズが向いている。

かつて僕は、はハッセルブラッドの標準レンズ、プラナー80mmが好きだった。
人物を撮る時、顔のUP以外はほとんどそのレンズで撮っていた。
2.8開放のボケ方や、正方形のフォーマットが好きだった。

今は、50mm標準で人物を横位置(なにしろ街道の撮影では、すべて横位置で撮っている)
を撮るのが好きだ。
縦位置だと全身かな。

今回の写真は、2枚ともCanonEF50mm1.2で撮った写真。
街を撮ったスナップ、横位置の2:3のバランスも50mmはフレーミングしやすい。
もっともこれは僕の個人的な趣味だけれど。

今回は、脱線。さて、

「なぜGRが、28mm単焦点レンズなのか?」 つづく


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Comments

書きましたよ。

Posted by: alao | 2013.05.31 08:18 AM

「なぜGRが、28mm単焦点レンズなのか?」 つづく


忘れてないですよね?
待ってます。

Posted by: 首を長くして | 2013.05.30 11:30 AM

つづけてください

Posted by: 無明 | 2013.05.29 12:32 PM

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